十字軍のロンバルディア人

『十字軍のロンバルディア人』（I Lombardi alla prima crociata）は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラです。一般には『イ・ロンバルディ』、または『第一回十字軍のロンバルディア人』という名称でも知られています。

概要

本作は、バルトロメオ・メレッリからの委嘱を受け、トマッソ・グロッシの叙事詩『第一回十字軍のロンバルディア人』を基に、テミストークレ・ソレーラが台本を執筆しました。1843年にミラノ・スカラ座で初演されました。

その後、1847年にはロワイエとヴァエーズによってフランス語に翻訳・改訂され、『エルサレム』としてパリのオペラ座で上演されました。さらに、バッシによるイタリア語版『ジェルザレムメ』もスカラ座で披露され、舞台をフランスに移した改作版も登場しました。1851年にはコンスタンティノープルでトンディが改作した『ジゼルダ』が上演されています。

初演を巡る騒動

完成直後、ミラノの枢機卿がオーストリアの司政官に本作の内容を訴えたため、司政官が警視総監にメレッリ、ソレーラ、ヴェルディの調査を命じる事態となりました。ヴェルディは「上演が不可能であれば作品を破棄するしかない」と主張し、ミラノ市民の多くが彼を支持しました。最終的には、警視総監の計らいにより、第1幕の「アヴェ・マリア」を「サルヴェ・マリア」に変更するのみで初演が許可されました。

楽器編成

ピッコロ、フルート、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、バストロンボーン、ティンパニ、打楽器3、ハープ2、オルガン、弦五部、バンダ

演奏時間

約2時間20分

登場人物

アルヴィーノ：ファルコの息子（テノール）
パガーノ：ファルコの息子（バス）
ヴィクリンダ：アルヴィーノの妻（ソプラノ）
ジゼルダ：アルヴィーノの娘（ソプラノ）
ピルロ：アルヴィーノの臣下（バス）
プリオーレ：ミラノ市民（テノール）
アッチャーノ：アンティオキア王（バス）
ソフィア：アンティオキア王の妻（バス）
オロンテ：アンティオキア王の息子（テノール）

あらすじ

物語の舞台は11世紀末の第1回十字軍の時代。聖地奪回を目指す十字軍と、ロンバルディアの貴族たちの愛憎劇が展開されます。兄弟が恋敵となる一方で、ロンバルディアの貴族の娘とサラセンの王子との間に禁断の愛が芽生え、信仰と愛、そして葛藤が複雑に絡み合います。

参考文献

最新名曲解説全集 補巻第3巻（音楽之友社）
井上和男『改訂版 クラシック音楽作品名辞典』三省堂、1998年2月10日、70頁。

外部リンク

十字軍のロンバルディア人の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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