千手院 (長野県佐久穂町)

千手院の詳細

千手院（せんじゅいん）は長野県南佐久郡佐久穂町に位置する天台宗の寺院です。この寺院は平林山という山号を持ち、津金寺という寺号が与えられています。また、本尊には千手観世音菩薩が祀られています。

歴史

千手院の創建は仁寿年間（851年～854年）にさかのぼると言われています。その際、円仁によって初めて設立されたと伝えられています。当寺は元々蓼科山の山麓に存在していましたが、その後の移転を経て、応永13年（1407年）に現在の地に定着しました。この際、寺院名が「平林山千手院津金寺」に改名されたとされています。

歴史的には、武田信玄や彼の子である武田勝頼もこの寺を敬愛していました。しかし、天正10年（1582年）に発生した落雷により、伽藍が焼失してしまったという悲しい出来事もありました。それでも現在も境内には、武田勝頼が鎧を掛けたと言われる松の木が健在です。

本尊である千手観世音菩薩は、長野県立科町の津金寺と山梨県北杜市の津金寺（海岸寺）も含め、行基による自彫の作品として伝えられています。この観音菩薩は、元々蓼科山に出現したとされており、千手院を含むこれらの寺院は「日本三津金寺」として知られています。これにより、豆知識として、行基が創建した寺院であること、共に自彫の観音像を祀る点、また「津金寺」と称される点に共通があることが挙げられます。

信仰と行事

千手院の本尊である千手観世音菩薩は、行基による創建時に蓼科山へ現れ、その後、この地に移されたことから「平林観音」とも呼ばれています。現在では、佐久三十三番観音の札所として広く信仰され、地域の人々から愛されています。

寺院の行事としては、正月に行われる初観音で厄除けが行われ、夏には夜観音が盛大に催されます。また、秋には収穫を祝う例祭も行われ、地域住民にとって重要な行事となっています。このような行事は地域の人々の信仰心を表す場であり、長い歴史の中で大切に受け継がれています。

伽藍の構成

千手院には、以下のような重要な伽藍が存在します。

• - 本堂（観音堂）: 本尊である千手観世音菩薩を祀る場所です。
• - 愛染堂: 愛染明王が祀られている堂。
• - 仁王門: 寺院の入り口に位置し、独特の雰囲気を醸し出しています。
• - 子安堂: 子安大明神が祀られ、子供の守護を願う場所。
• - 弁天堂: 弁才天を祀る堂で、学問や商売繁盛を願う人々が訪れます。
• - 客殿: 来客を迎えるための施設です。
• - 赤門: また、多くの人が訪れる際のシンボル的な門です。

周辺の名所

千手院はその周辺にも見どころがいくつかあります。東日本旅客鉄道（JR東日本）の小海線にある羽黒下駅や、近くに位置する平林神社、栄橋、千曲川などが観光スポットとして知られています。それにより多くの訪問者が千手院を訪れ、地域の名所を楽しむことができます。

このように千手院は、歴史的背景や信仰、行事、伽藍構成、周囲の景観との調和の中で、豊かな文化を育んでいます。

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