千本松原 (静岡県)

千本松原

千本松原は、静岡県沼津市の狩野川河口から富士市の田子の浦港まで、駿河湾沿いに約15kmにわたって続く松原です。正式には富士海岸と呼ばれ、通称として千本浜とも呼ばれています。

概要

松林越しに見える富士山の眺めは非常に美しく、多くの文人たちに愛されてきました。特に、歌人の若山牧水が、1926年に県の伐採計画に対して反対運動を行い、計画を断念させたエピソードは有名です。千本松原は、日本百景や日本の白砂青松100選にも選ばれています。

その名の通り「千本」の松があると思われがちですが、実際には30数万本以上の松が生い茂っています。1976年の東海地震説発表以降、駿河湾沿岸では津波対策が強化され、松原と海岸の間には堤防が築かれましたが、景観を損ねているという意見も存在します。

由来

千本松原は、もともと農民が防潮・防風のために植えたものとされています。戦国時代には、この地で武田氏と北条氏の間で激しい戦いが繰り広げられました。1580年、武田勝頼は北条氏政に対抗するため駿河に出陣し、沼津に布陣。これに対し、武田水軍と北条水軍が沼津沖で海戦を行いました。この戦いで、武田軍は松を伐採し、海岸を戦場としました。戦の後、周辺農民は風害や塩害で大きな被害を受けました。

この惨状を憂いた山城延暦寺の僧侶、長円は、衆生済度を願い、約5年の歳月をかけて千本の松を植えて根付かせました。これが千本松原の由来とされています。長円は後に増誉上人となり、彼をたたえて里人たちが建てた庵が、現在の沼津市出口町にある乗運寺です。若山牧水もこの寺に葬られています。

現在

現在、千本松原は、防潮林・防風林としての役割に加え、駿河湾の景勝地、静岡県の景勝地としても親しまれています。しかし、2011年には東海地震の瓦礫処分場に選定されるなど、災害対策の面でも注目されています。一方で、津波によって松が流されるのではないかという懸念も存在します。

ギャラリー

(ギャラリー画像は割愛します)

脚注

注釈

特になし

出典

特になし

参考文献

柴田寿彦『沼津今昔－秘話を探る（その1）』1986年2月（沼津市立図書館・郷土資料）
平山優『武田氏滅亡』KADOKAWA〈角川選書 580〉、2017年。ISBN 978-4-047-03588-1。

関連項目

保安林
千本松原 (岐阜県)
* 静岡県道380号富士清水線

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