千葉興常

千葉興常

千葉興常（ちば おきつね）は、室町時代後期から戦国時代にかけての武将です。千葉氏の一族であり、祇園千葉氏（東千葉氏）の初代当主として知られています。彼の生涯は、当時の複雑な政治情勢と深く結びついています。

生い立ちと大内氏との関係

興常の生年は明らかではありません。父は千葉胤盛（たねもり）であり、早くに父と死別したため、伯父である千葉介胤朝（たねとも）の養子となりました。その後、周防の大内氏のもとで養育され、元服時には大内義興（おおうち よしおき）から偏諱を受け、「興常」と改名しました。この背景には、当時の千葉氏が置かれていた複雑な状況と、大内氏の強い影響力がありました。

祇園千葉氏の成立

文明18年（1486年）、養父の胤朝が暗殺されるという事件が起こります。この事件に少弐政資（しょうに まさすけ）が関与し、政資の弟が千葉胤資（たねすけ）として新たな当主に擁立されました。この出来事をきっかけに、九州[[千葉氏]]は分裂し、大内氏の支援を受けた興常は、祇園城（千葉城）を拠点として祇園千葉氏（東千葉氏）を立ち上げました。この祇園千葉氏の成立は、興常の人生における大きな転換点となりました。

大内氏の肥前守護代として

明応6年（1497年）、大内義興が少弐政資を討伐した後、興常は大内氏の肥前守護代に任命され、その勢力を拡大しました。肥前守護代としての興常は、大内氏の九州における影響力を強固にする上で重要な役割を果たしました。

死没とその後

興常の命日については、天文元年（1532年）6月5日、または天文9年（1540年）6月4日の二つの説があります。法名は本光寺殿、日慶です。彼の死後、家督は次男の丹波守喜胤（たんばのかみ よしたね）が継ぎましたが、喜胤は天文11年（1542年）に34歳で自害しました。その後、婿養子として千葉胤頼（少弐政資の孫）が家督を継ぎました。このように、興常の死後も千葉氏の家督争いは続きました。

偏諱を与えた人物

興常は、以下の人物に偏諱を与えたことが知られています。

龍造寺常家（りゅうぞうじ つねいえ）：龍造寺胤家（たねいえ）の孫であり、後の戦国大名・龍造寺隆信の祖父にあたります。
石井常延（いしい つねのぶ）：千葉氏の一族であり、佐賀藩の祖である鍋島直茂（なべしま なおしげ）の正室で、初代藩主・鍋島勝茂（なべしま かつしげ）の生母である陽泰院（ようたいいん）の実父です。

関連人物

* 神代勝利（くましろ かつとし）：詳細な関係は不明ですが、当時の武将として名を連ねています。

まとめ

千葉興常は、室町時代から戦国時代にかけての激動の時代を生き抜いた武将です。大内氏の庇護を受けながら、祇園千葉氏を確立し、九州における勢力争いの中で重要な役割を果たしました。彼の生涯は、当時の武家社会の複雑な人間関係と権力闘争を映し出す鏡と言えるでしょう。

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