石井常延

石井常延（いしい つねのぶ）

石井常延は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。肥前石井氏の嫡流である和泉守家の当主であり、佐賀藩の祖である鍋島家にとっては非常に重要な外戚にあたります。具体的には、初代佐賀藩主である鍋島勝茂の母方の祖父であり、藩祖・鍋島直茂の義父にあたります。

生い立ちと前半生

石井常延は、肥前国佐嘉郡飯盛城主であった石井和泉守忠清の嫡男として生まれました。母親は飯盛肥前守の娘であり、継母は龍造寺家純の四女であったため、龍造寺隆信や鍋島直茂とは義理の従兄弟の関係にありました。幼少期には、肥前国小城郡主であった千葉興常を烏帽子親として元服し、その偏諱を受けて「常延」と名乗るようになりました。正室には黒尾氏（蓮華院）を迎えています。

軍事面での活躍

常延は、武将としても非常に有能でした。享禄3年（1530年）の田手畷の戦いでは、父である石井和泉守忠清やその弟たち、鍋島清久・清房父子と共に戦場に出陣しました。その際、赤熊の毛と鬼面を被った奇襲部隊を率いて龍造寺家兼隊を援護し、家兼隊の勝利に大きく貢献しました。この戦いをきっかけに、龍造寺家兼、そしてその子である隆信の二代に渡って家老格の重臣として仕えることになりました。

文人武将としての一面

常延は、武勇に秀でていただけでなく、学問にも非常に熱心な文人武将としても知られていました。特に、後の佐賀藩祖である鍋島直茂が幼少の頃には、常延が学問の師を務めていたと伝えられており、直茂はしばしば常延の屋敷に通って夜学に励んでいたと言われています。このことから、常延が直茂の人間形成に大きな影響を与えたことがうかがえます。

鍋島家との関係

石井常延の次女である彦鶴（後の陽泰院）は、鍋島直茂の正室となり、後の佐賀藩初代藩主となる鍋島勝茂を生みました。この結婚により、石井家と鍋島家の繋がりはより強固なものとなり、佐賀藩の成立と発展に大きく貢献しました。

死没とその後

石井常延は、天正8年（1580年）に77歳で亡くなりました。その墓所は、現在の佐賀市本庄町鹿子にある妙光山常照院にあります。常延の子孫は、佐賀藩において重要な役割を果たし、その血筋は藩の発展を支え続けました。

親族

石井常延には、二男三女の子供がいました。嫡男は刑部少輔常忠（龍造寺隆信の御馬廻衆）、長女は法性院（石井左衛門尉忠俊室）、次男は伊豆守賢次（忠張）、次女は彦鶴（鍋島直茂室）、三女は幸佑院（杉町備中守信房室）です。また、孫には石井信易・信忠兄弟、石井茂成、鍋島勝茂などがおり、曾孫には鍋島茂里・茂賢兄弟、市姫（上杉定勝室）などがいます。これらの親族関係からも、石井常延が佐賀藩の歴史において重要な人物であったことがわかります。

石井常延は、武将としてだけでなく、文人としても優れており、その影響力は多岐にわたりました。彼の功績は、佐賀藩の歴史において永遠に語り継がれることでしょう。

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