千葉都民

千葉都民（ちばとみん）

「千葉都民」とは、千葉県内に生活の拠点がありながら、日常的に東京都内の職場や学校へ通う人々を指す、一般的に使われる俗称です。

概要

千葉県は、江戸川や旧江戸川を境として東京都と隣接しています。この地理的な近さから、県内の多くの市町村が東京を中心とした都市圏（東京都市圏）の一部を形成しています。

高度経済成長期以降の東京への人口・機能集中に伴い、県内でも郊外へと居住地が広がる「郊外化」が進展しました。その結果、東京都心へのアクセスが良い一部の自治体は、東京圏のベッドタウン（衛星都市）として大規模な発展を遂げました。こうした背景から、「住む場所は千葉県だが、働く場所や学ぶ場所は東京都」というライフスタイルが広く確立しました。

特に東京都に地理的に近い葛南（かんなん）地域や東葛飾（とうかつしか）地域に位置する市町村では、15歳以上の住民のうち東京都へ通勤・通学する人の比率が高い傾向にあります。2015年に実施された国勢調査によれば、この比率が最も高かったのは浦安市で、その割合は48.6%に上りました。

用語の使用状況

千葉都民という言葉には、しばしばステレオタイプ的なイメージが付随することがあります。東京都内での滞在時間が長いため、自身が居住する千葉県の地域に対する関心や帰属意識が薄い人々である、といった見方がされる傾向です。このようなイメージが、特定の政党を支持しない無党派層の多さと関連づけられることもあり、選挙報道などで当該地域の有権者の特性を説明する際に用いられる例が見られます。

また、千葉県内に居住し、かつ県内の職場や学校へ通う人々（「千葉都民」に対して「千葉県民」と呼ばれることもあります）と比較する文脈で、メディアなどで取り上げられることもあります。なお、東京都市圏に含まれる他の県、例えば神奈川県、埼玉県、茨城県などにも、同様に県境を越えて東京へ通勤・通学する人々がおり、「神奈川都民」「埼玉都民」「茨城都民」といった類似の俗称が存在します。

ライフスタイルを支える交通インフラ

千葉都民というライフスタイルがこれほどまでに定着した要因の一つに、県と東京都を結ぶ交通網の目覚ましい発達が挙げられます。

千葉県の県庁所在地である千葉市は、東京駅からおよそ40km離れた県の中央部に位置しています。そのため、千葉市よりも西側の地域では、必ずしも県庁所在地へ向かうよりも、東京都心へアクセスする方が時間的・地理的に容易な場合が多くあります。多くの鉄道路線や道路が両都県間を直通しており、首都圏を代表する混雑路線である東京メトロ東西線やJR総武線（快速・緩行）なども利用されています。

東京都心へ直通する主な鉄道路線には、つくばエクスプレス、常磐線（快速・各駅停車）、北総線、京成成田空港線、京成本線、総武線（快速・各駅停車）、都営地下鉄新宿線、東京メトロ東西線、京葉線などがあります。

また、道路網も発達しており、京葉道路や首都高速湾岸線といった高速道路に加え、国道6号、14号、298号、357号などの幹線道路、さらには複数の都県道が両都県間を結んでいます。

こうした多様で便利な交通網が、千葉県からの東京都への通勤・通学を可能にし、千葉都民という生活様式を支えていると言えます。

関連項目

ベッドタウン
衛星都市
東葛飾地域
印旛地域
神奈川都民
埼玉都民
茨城都民
地域主義
ちばらき
東京都市圏

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