引

引（いん）とは

引（いん、拼音: yǐn）は、中国の伝統的な長さの単位であり、1丈の10倍に相当します。しかし、その具体的な長さは時代や地域によって異なっていました。歴史的な文献や制度の変遷を辿ることで、その姿を垣間見ることができます。

歴史

『漢書』律暦志には、長さの単位として「分」「寸」「尺」「丈」「引」が挙げられ、その関係性が記述されています。具体的には、「十分為寸、十寸為尺、十尺為丈、十丈為引」とあり、10進法に基づく単位体系であったことがわかります。この記述から、引は尺の100倍の長さを持つことがわかります。

市制における引

1929年に中国で市制が定められた際、「引」も長さの単位として定義されました。この時、1引は100尺とされ、メートル法に換算すると約33.3メートルに相当しました。これは、1尺が約0.333メートル（1/3メートル）と定義されていたためです。

しかし、この定義はあまり実用されることなく、現代の中華人民共和国の市制においては「引」は定義されていません。日常生活において、この単位が使われることはほぼ皆無です。

近代における「引」

近代中国では、メートル法の導入に伴い、「引」は実用的な長さの単位としては使われなくなりました。しかし、メートル法におけるヘクトメートル（hm、100メートル）に対して、「引」の字を当てて「公引」と呼んでいた時期がありました。これは、伝統的な単位とメートル法の関連付けを試みた例と言えるでしょう。ただし、この表現も現在では一般的ではありません。

まとめ

引は、中国の歴史の中で重要な長さの単位でしたが、時代とともにその役割を終えました。現在は、ほとんど使われることのない歴史的な単位となっています。中国の度量衡の歴史を理解する上で、重要な要素の一つと言えるでしょう。

関連項目

* 市制

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