卑南郷

卑南郷（ベイナン/ひなん-きょう）

台湾南東部、台東県に位置する卑南郷は、豊かな自然と多様な文化が共存する地域です。中央山脈と海岸山脈が交わる場所に位置し、山地が大部分を占める地形が特徴です。住民構成は漢人が多数を占める一方で、プユマ族、アミ族、ルカイ族などの原住民も多く暮らしており、多様な文化が入り混じる地域でもあります。

地理

卑南郷は、台東県のほぼ中央に位置しています。北は鹿野郷、延平郷、東北は東河[[郷]]、西は屏東県霧台郷、南は台東市、太麻里郷と隣接し、東は太平洋に面しています。花東縦谷平原の南端に位置し、中央山脈と海岸山脈が交わる場所にあります。郷の総面積の約60%が山地であり、卑南渓、知本渓、利嘉渓などの河川が流れています。この地形は、豊かな自然を育むとともに、多様な動植物が生息する環境を作り出しています。

歴史

卑南郷は、古くからプユマ族の居住地でした。オランダ統治時代には「雄東部」と呼ばれ、オランダ人はこの地を「Pimala」と呼んでいました。清代には漢人の進出が禁じられた「蕃地」とされ、「卑南八社」と称されていました。「卑南」という名称は、プユマ語で「最高の尊称」を意味する「Puyuma」に由来し、この地の頭目であるPinaraを表しています。日本統治時代には卑南庁が設置され、後に台東直隸州、そして「卑南庄」と改称され、台東庁台東郡の管轄となりました。第二次世界大戦後、台東県卑南郷となり現在に至ります。1974年には、県政府所在地であった台東鎮が台東市に昇格する直前に、卑南郷の中心地域だった10の村が台東鎮に編入され、卑南里として台東鎮に帰属することになりました。この歴史的な経緯が、現在の卑南郷の地理的な特徴にも影響を与えています。

住民

卑南郷の住民は漢人が多数を占めていますが、約35%は原住民です。特にプユマ族が多数を占め、アミ族、ルカイ族も暮らしています。東興村には、ルカイ族の一支族が住むタロマク（Taromak／達魯瑪克）村があり、台東県内でルカイ族が居住する唯一の地域となっています。これらの原住民の文化は、伝統的な祭りや生活習慣に色濃く残っており、卑南郷の大きな魅力となっています。

経済

卑南郷の経済は、農業と観光業が中心です。農業では、パイナップルやマンゴーなどの果物栽培が盛んです。また、観光業では、初鹿牧場や知本温泉などの観光スポットがあり、多くの観光客が訪れます。

行政区

卑南郷の行政区は、複数の村から構成されています。各村は、それぞれ独自の歴史や文化を持っており、地域の特性を形成しています。

教育

卑南郷には、以下の教育機関があります。

国民中学:
台東県立初鹿国民中学
国民小学:
複数の小学校が存在します。

これらの教育機関は、地域の子供たちの教育を担っており、地域社会の発展に貢献しています。

交通

卑南郷へのアクセスは、主に鉄道とバスが利用されます。台東駅からバスでアクセスすることができます。

観光

卑南郷には、数多くの観光スポットがあります。以下に主な観光スポットを紹介します。

初鹿牧場: 広大な牧場で、牛や羊などの動物と触れ合うことができます。
初鹿山荘: 初鹿牧場に隣接する宿泊施設で、自然を満喫できます。
知本国家森林遊楽区: 豊かな自然が残る森林公園で、ハイキングや森林浴を楽しめます。
知本温泉: 台湾有数の温泉地で、露天風呂や温泉旅館が楽しめます。
白玉風景区: 美しい海岸線が広がる景勝地で、散策や写真撮影に最適です。
杉原海水浴場: 海水浴やマリンスポーツを楽しむことができます。
千歳榕: 樹齢数百年の巨大なガジュマルの木です。
達魯瑪克紀念碑: ルカイ族の歴史を伝える記念碑です。
小黄山: 奇岩が連なる景勝地で、ミニチュア版の黄山のような景観が楽しめます。
利吉悪地地質公園: 特殊な地質が観察できる公園です。
清覚寺: 地域の信仰を集める寺院です。
観林吊橋: 吊り橋からの眺めが美しいスポットです。
台東原生応用植物園: 台湾原生の植物を展示する植物園です。
山里福音教会: 歴史的な教会で、独特の建築様式が特徴です。

これらの観光スポットは、卑南郷の豊かな自然と文化を体験できる貴重な場所です。

脚注

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外部リンク

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