協和帝

協和帝（きょうわてい、ヒエップホアてい、Hiệp Hoà）は、ベトナム阮朝の第6代皇帝として、1883年の短い期間在位しました。彼の治世は、激動の時代であり、ベトナムがフランスの保護国となるという歴史的な転換期にありました。

生涯

1847年、協和帝は紹治帝の第29皇子として、阮福洪佚（Nguyễn Phúc Hồng Dật）の名でフエで誕生しました。後に阮福昇（Nguyễn Phúc Thăng）と改名します。彼は朗国公に叙せられましたが、皇帝の地位にはなかなか就くことができませんでした。嗣徳帝が亡くなった後、当初は育徳帝が後を継ぎましたが、その地位を剥奪された後、38歳にして協和帝は即位することになります。

即位と傀儡政治

協和帝が即位した当時、ベトナムは清仏戦争の渦中にありました。フランス軍が優勢で国内は戦場と化していました。朝廷内では阮文祥、尊室説、陳践誠の3名が輔政大臣として実権を握り、協和帝は彼らの傀儡に過ぎませんでした。政治の実権は大臣たちに握られ、皇帝としての自由な行動は制限されていました。

フランスの保護国化

1883年8月20日、ベトナムは順安の戦いでフランス軍に敗北します。その結果、同年8月25日には、ベトナムはフランスの保護国となる癸未条約に調印せざるを得なくなりました。これにより、ベトナムの独立は失われることとなりました。しかし、その後もトンキン戦争は続きました。協和帝は、この条約締結に深く関与しており、その決断は後の歴史に大きな影響を与えました。

失脚と最期

協和帝は、阮文祥と尊室説による傀儡政治に不満を抱いていました。そのため、彼は両大臣を排除しようと画策し、フランスに接近しようとしました。しかし、この動きは阮文祥に察知され、彼は慈裕太皇太后（紹治帝の皇后）に奏請し、協和帝は廃位されてしまいます。さらに、協和帝と親しかった陳践誠は殺害されました。協和帝の在位期間はわずか4ヶ月という短いものでした。

廃位された協和帝は、王宮内の育徳学堂に幽閉されました。そこで彼は毒酒を飲むことを強制され、悲劇的な最期を迎えました。

協和帝の死後

協和帝の死後、彼の甥にあたる建福帝が次の皇帝として即位しました。協和帝の短い治世は、ベトナムがフランスの植民地支配下に入るという、歴史的な転換期における出来事として、後世に語り継がれることとなりました。

協和帝の生涯は、激動の時代における悲劇的な皇帝の姿を象徴しており、彼の短い治世は、ベトナムの歴史における重要な転換点として深く記憶されています。

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