建福帝

建福帝（けんふくてい、キエンフックてい、Kiến Phúc、1869年2月12日 - 1884年7月31日）は、ベトナム阮朝の第7代皇帝として、1883年から1884年まで在位しました。諱は阮福膺登（Nguyễn Phúc Ưng Đăng）であり、後に阮福膺祜（Nguyễn Phúc Ưng Hỗ）、阮福昊（Nguyễn Phúc Hạo）と改めました。

実子がいなかった嗣徳帝は、3人の甥を養子としましたが、その中で最も年少だったのが建福帝でした。養子たちの中でも特に聡明であったとされ、嗣徳帝自身も彼を後継者にしたいと考えていましたが、慈裕皇太后（嗣徳帝の母）の反対により、それは実現しませんでした。

先代の協和帝が権臣である阮文祥と尊室説との対立の末に毒殺された後、建福帝は15歳という若さで帝位に就きました。しかし、彼もまた権臣たちの専横に不満を抱いていました。在位中、建福帝は自身の養母である学妃（阮氏香、嗣徳帝の側室）と阮文祥が密通している事実を知り、彼らを処罰しようとしました。

しかし、この動きを察知した阮文祥は、先手を打ちました。彼は学妃に命じて、建福帝が日常的に服用している薬に毒を盛らせたのです。この毒が原因で、建福帝は即位からわずか半年後の16歳という若さで崩御しました。彼の死後、弟である咸宜帝が帝位を継ぐことになりました。

建福帝の短い在位期間は、阮朝末期の政治的混乱と権力闘争を象徴しています。聡明でありながらも、権臣たちの策略によって若くして命を落とした彼の悲劇は、歴史の中で語り継がれています。彼の死は、阮朝の衰退を加速させる一因となったとも言えるでしょう。

建福帝の治世は短く、目立った業績は残されていませんが、彼の人生は、当時の宮廷内部の複雑な人間関係と権力争いを鮮やかに映し出しています。若き皇帝の悲劇的な最期は、阮朝の歴史における重要な出来事の一つとして、後世に教訓を与えています。

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