等時帯

等時帯（タイムゾーン）とは

等時帯とは、共通の標準時や常用時を使用する地域のことです。一般的に、協定世界時（UTC）との時差で示されます。等時帯は、時刻帯、等時刻帯、時間帯、タイムゾーン、標準時間帯など、様々な名称で呼ばれることがあります。

船の航海においては、時刻帯を記述する際に「ゾーン記述（ZD）」というものが用いられます。これは、経度0度を基準として、そこから1時間ごとに+1から+12、または-1から-12までの数字で表されます。この表記は、ISO 8601やRFC 3339のオフセットとは符号が逆になります。

等時帯に関する情報収集団体

等時帯に関する情報（特に夏時間の開始日など）を収集している主な団体として、以下の3つが挙げられます。

IANA Time Zone Database: Windows以外のコンピュータや電子機器で広く利用されています。
IATAタイムゾーン: 航空業界向けに提供されています。
マイクロソフト: Microsoft Windowsなどのマイクロソフト製品向けです。

等時帯の歴史

地球が球体であり、かつ太陽の周りを公転しているため、場所によって太陽が最も高く昇る正午の時刻（太陽時）は異なります。経度1度につき約4分の時差が生じます。

航海技術とグリニッジ標準時

大航海時代に入り、航海技術が発達するにつれて、緯度と経度の重要性が認識されるようになりました。1675年、イギリスのチャールズ2世は緯度と経度の研究のためにグリニッジ天文台を設立しました。しかし、経度に関する研究は難航し、1714年には海上での経度測定法を発見した者に懸賞金が贈られることになりました。この懸賞金を手にしたのは、時計職人のジョン・ハリソンが製作したクロノメーターでした。

18世紀にクロノメーターが発明されたことで、航海技術は飛躍的に向上し、海図の整備が進みました。その結果、場所と経度の関係を国際的に共有するための統一基準を作る必要性が生じました。1884年には、ワシントンD.C.で国際子午線会議が開催され、世界中の船舶が利用していたイギリス製の海図に合わせ、グリニッジを基準点とすることが決定しました。

鉄道技術とタイムゾーン

経度と時間の関係が理解され、標準時は定められたものの、各地の時計はそれぞれが正午を基準としていました。この状況は、鉄道の運行において大きな問題を引き起こしました。異なる時間設定では衝突事故につながる恐れがあったためです。

1840年、イギリスのグレート・ウェスタン鉄道はグリニッジ標準時を基にした鉄道時間を採用しましたが、イギリスの各鉄道会社間での対応は統一されず、混乱が続きました。1852年8月23日には、イギリス王立天文台から電信による時刻信号の送信が開始され、駅の時計を合わせることができるようになりました。しかし、この時刻信号がイギリスの法定時刻となったのは1880年8月2日のことです。この期間、一部の時計は現地時間と標準時を示す二本の分針を備えていました。

19世紀初頭の北米では、少なくとも144ものタイムゾーンが存在していました。鉄道が登場するまでは大きな問題にはなりませんでしたが、長距離移動が一般的になると、時間設定の混乱は深刻化しました。1879年、カナダの鉄道技師サンドフォード・フレミングは鉄道に乗り遅れた経験から、タイムゾーンを統一するアイデアを思いつきました。1883年11月18日、アメリカとカナダの鉄道業界は、このアイデアを採用し、北米大陸を4つのタイムゾーンに分割しました。

関連項目

協定世界時（UTC）
世界時
日本標準時（JST）
時刻系
標準電波
世界時計
国際日付変更線

外部リンク

* 『等時帯』 - コトバンク

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