南キヴ州

南キヴ州：紛争と多様性の交錯する地

南キヴ州は、コンゴ民主共和国の東部に位置する州です。州都はブカブですが、2025年2月24日以降、反政府勢力の影響によりウビラが臨時州都となっています。北キヴ州、キブ湖、ルワンダ、ブルンジ、タンザニアと国境を接し、その地理的な位置から、紛争の多発地帯となってきました。

概要

南キヴ州は、面積約65,070平方キロメートル、人口は約707万人（2020年推定）です。州内には、ブカブ、ウビラなどの都市があり、バギラ、イバンダなど8つの地区が置かれています。キブ湖に浮かぶイジウィ島も南キヴ州に属します。

歴史と政情

モブツ・セセ・セコ政権下では、マニエマ州、北キヴ州と合わせてキヴ州を構成していました。その後、ローラン・カビラ政権時に再分割されました。スワヒリ語が広く話されていますが、ルワンダ紛争の影響でルワンダ系住民（バニャルワンダ）が流入し、第一次・第二次コンゴ戦争の起点となりました。第二次コンゴ戦争時には、ルワンダ軍やブルンジ軍による占領も経験しました。

停戦後も、マイマイやコンゴ民主連合などの反政府勢力の活動が続き、地域住民は深刻な影響を受けています。特に、女性に対する性的暴力が多発しており、2011年には150人以上の被害者を出す大規模な婦女暴行事件も発生しました。近年では、治安部隊や武装集団による犯行は減少傾向にあるものの、依然として民間人による性的暴行事件が発生しています。

2021年危機

2021年12月、南キヴ州では知事の解任をめぐる政情不安が発生しました。州議会がテオ・ングワビジェ・カシ知事に対する不信任決議を可決したものの、カシ知事はこれを拒否し、裁判所に提訴しました。裁判所は一時的にカシ知事の訴えを認めましたが、その後、副知事との間で知事の座をめぐる争いが勃発し、州政府は機能不全に陥りました。中央政府の介入により事態は収束に向かいましたが、その後も知事の不信任決議と復職が繰り返され、政情は不安定な状態が続いています。

反政府勢力の活動

南キヴ州を含むコンゴ民主共和国東部では、現在も多数の反政府勢力が活動しています。国際連合人道問題調整事務所（OCHA）の報告によれば、その数は約120にのぼります。民主同盟軍（ADF）などの勢力が活動を活発化させており、2025年には3月23日運動（M23）を含むコンゴ川同盟が州都ブカブを一時的に支配下に置きました。これにより、プルシ州知事らはウビラを臨時州都とすることを宣言しました。

南キヴ州の未来

南キヴ州は、紛争の歴史と複雑な民族構成、そして脆弱な政治体制など、多くの課題を抱えています。しかし、豊かな自然と多様な文化は、この地域の大きな可能性を示しています。紛争の解決、政治の安定、そして経済の発展を通じて、南キヴ州が平和で豊かな地域となることを願います。

外部リンク
* Carte des Territoires du SUD KIVU

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