南コルドファン州

南コルドファン州

南コルドファン州は、スーダン共和国に位置する州であり、その地理的特徴、歴史的背景、そして政治的状況は複雑に絡み合っています。

地理

ヌバ山地に位置し、南スーダンと国境を接する南コルドファン州は、多様な地質構造を有しています。沖積層、第三紀から第四紀の堆積物、白亜紀のヌビア砂岩層、そして先カンブリア時代の複合基盤岩類が織りなす地層は、この地域の自然環境を特徴づけています。

気候は、年間平均降水量が北部で400mm、南部で800mmと地域差があり、5月から10月にかけての雨季と11月から4月にかけての乾季に明確に分かれます。雨季には湖や草地が出現し、牛の放牧が盛んに行われます。バオバブやニセアカシアなどの樹木が分布し、平野部に密集するイネ科の植物は、牛や山羊の重要な飼料源となっています。

歴史

南コルドファン州はスーダン共和国の一部ですが、ヌバ山地には南スーダンの部族集団が多く居住しています。第二次スーダン内戦時には、住民の一部が反政府勢力に参加した歴史もあります。1994年にコルドファン地方が北、南、西コルドファン州に分割された際に州として成立しました。その後、2005年に西コルドファン州が廃止され、北コルドファン州と南コルドファン州に分割・合併されました。2013年には西コルドファン州が再度設置され、南コルドファン州の面積は縮小しました。

2009年と2010年には、州内で対立する部族間の衝突が頻発し、多数の犠牲者と数千人の強制退去者が出ました。

2005年に締結された包括和平合意に基づき、南コルドファンの住民は2011年に州の将来を決定する住民投票を行う予定でした。しかし、当時の知事アフマド・ハルーンによって住民投票は中止されました。ハルーンは国際刑事裁判所から戦争犯罪と人道に対する罪で起訴されています。

2011年7月9日に南スーダンが独立する直前の6月6日には、南北スーダンの間で武力衝突が発生しました。その後、両勢力はアビエイからの撤退に合意し、6月20日にはアビエイの非武装地帯化に同意、エチオピア軍を中心とする国連アビエイ暫定治安部隊が駐屯することになりました。

政治・社会情勢

南コルドファン州は、スーダン国内で唯一石油を産出する地域であり、その資源を巡る争いが紛争の背景にあるとも言われています。ヌバ族をはじめとする住民は、政府軍による攻撃の標的にされており、人道的な危機が懸念されています。

包括和平合意に基づく住民投票が中止されたことや、その後の武力衝突など、南コルドファン州は長年にわたり不安定な状況が続いています。国際社会の関与と、紛争の根本的な解決に向けた努力が求められています。

参考文献

加藤博「南コルドファーン州」『世界地名大事典』3収録（朝倉書店, 2012年11月）

関連項目

スーダンの地方行政区画

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