南九州西回り自動車道

南九州西回り自動車道：九州南部の交通網を支える高規格道路

南九州西回り自動車道は、熊本県八代市を起点に、水俣市、出水市、阿久根市、薩摩川内市などを経て、鹿児島市に至る延長約140kmの高規格幹線道路です。国道3号に指定されており、道路標識上では『南九州自動車道（MINAMI-KYUSHU EXPWY）』と表記され、『南九州道』と略称されています。高速道路ナンバリングでは全線に「E3A」が割り当てられています。

概要

八代海沿岸部を通り、薩摩半島を横断するルートは、九州新幹線のルートとほぼ並行しています。正式名称に「西回り」と付いているのは、九州南部の西岸を通るルートであることに由来します。

全線開通により、九州自動車道とダブルネットワークを形成し、災害時にも鹿児島県と福岡・熊本方面の交通を確保できるようになります。さらに、九州自動車道の肥後トンネルや加久藤トンネルといった、危険物積載車両の通行が制限されている長大トンネルを回避できるため、安全性の向上にも繋がります。

高速道路ナンバリング

南九州西回り自動車道全線には「E3A」の路線番号が付けられています。一般的には並行する一般国道の番号を使用するルールですが、九州自動車道が既に「E3」を使用しているため、区別するために「A」が追加されました。

開通状況と今後の計画

2019年3月時点では、総延長140kmのうち103.2kmが開通しており、供用率は72.7%でした。未開通区間は、水俣IC - 出水IC間（16.3km）と阿久根IC - 薩摩川内水引IC間（22.4km）の2区間です。これらは現在も事業中ですが、全線開通の目処は立っていません。

熊本県側は八代JCTから水俣ICまで開通しています。八代JCT - 日奈久IC間はNEXCO西日本が管理する有料区間（八代日奈久道路）で、それ以降の水俣ICまでは国土交通省管轄の無料区間です。鹿児島県側は、出水IC - 阿久根IC間と薩摩川内水引IC - 鹿児島IC間が開通しています。これらも、一部NEXCO西日本が管理する有料区間を含みますが、大部分は国土交通省管轄の無料区間です。

歴史

南九州西回り自動車道の計画は、九州縦貫自動車道の終点決定を巡る議論を経て、1987年の第四次全国総合開発計画で正式に決定されました。水俣病による被害からの地域再生を目的とし、1997年の水俣病関係閣僚会議申し合わせにおいて整備が決定しました。

その後、段階的に各区間が事業化、開通していきました。近年は、マラソン大会が開催されるなど、地域活性化にも貢献しています。また、一部区間の4車線化も計画されています。

各事業区間の詳細

南九州西回り自動車道は、複数の事業区間から構成されています。それぞれの区間は、道路管理者や開通状況、路線データが異なります。以下に主な事業区間について詳細を示します。

八代日奈久道路: 熊本県八代市東片町（八代JCT）から同市日奈久下西町（日奈久IC）までの区間。NEXCO西日本が管理する有料道路です。
日奈久芦北道路: 熊本県八代市日奈久下西町（日奈久IC）から葦北郡芦北町大字花岡（芦北IC）までの区間。国土交通省管轄の無料道路です。
芦北出水道路: 熊本県葦北郡芦北町大字花岡（芦北IC）から鹿児島県出水市下知識町（出水IC）までの区間。国土交通省管轄の無料道路です。
出水阿久根道路: 鹿児島県出水市下知識町（出水IC）から阿久根市鶴川内（阿久根IC）までの区間。国土交通省管轄の無料道路です。
阿久根川内道路: 鹿児島県阿久根市鶴川内（阿久根IC）から薩摩川内市水引町（薩摩川内水引IC）までの区間。国土交通省管轄の無料道路です。
川内隈之城道路: 鹿児島県薩摩川内市水引町（薩摩川内水引IC）から薩摩川内市都町（薩摩川内都IC）までの区間。国土交通省管轄の無料道路です。
川内道路: 鹿児島県薩摩川内市都町（薩摩川内都IC）からいちき串木野市大里（市来IC）までの区間。国土交通省管轄の無料道路です。
鹿児島道路: 鹿児島県いちき串木野市大里（市来IC）から鹿児島市田上八丁目（鹿児島IC）までの区間。NEXCO西日本が管理する有料道路です。

道路状況

開通済みの区間でも、暫定2[[車線]]の区間が多く、今後4車線化が計画されています。交通量は、特に鹿児島市街地付近では非常に多く、混雑が問題となっています。

休憩施設

開通区間には、美山PA（有料）のほか、道の駅を併設したIC（田浦IC、芦北IC）などがあります。未開通区間についても、防災機能を備えた道の駅の整備が計画されています。

主要なトンネルと橋梁

南九州西回り自動車道には、多くのトンネルや橋梁が建設されています。特に、新佐敷トンネル（2919m）は、2016年時点では最長のトンネルでした。川内川大橋は、歩行者専用の市道も併設されています。

道路管理者

道路管理者は、有料区間はNEXCO西日本、無料区間は国土交通省九州地方整備局八代河川国道事務所および鹿児島国道事務所が担当しています。

交通量と混雑状況

交通量は、日奈久IC - 芦北IC間、薩摩川内都IC - 鹿児島IC間で1万台を超え、鹿児島西IC - 鹿児島IC間では2万台を超える箇所もあります。特に鹿児島西IC - 鹿児島IC間は、混雑度も高く、渋滞が発生しやすい区間です。

まとめ

南九州西回り自動車道は、九州南部の交通網を強化し、地域経済の活性化に貢献する重要な道路です。今後の全線開通、4車線化など、更なる整備が期待されています。

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