南光明

南光明（みなみ こうめい）

1895年（明治28年）6月30日、東京に生まれた南光明は、日本の映画史にその名を刻む俳優です。本名を鈴木光といい、新劇俳優としてキャリアをスタートさせましたが、後に時代劇へと転身、幅広い役柄を演じ分けました。

生い立ちと初期の活動

南光明は、東京市京橋区築地（現在の中央区築地）で生を受けました。1920年（大正9年）10月、松竹キネマ研究所に入所し、小山内薫の指導の下で映画界入りを果たします。村田実監督の『路上の霊魂』でデビューし、その才能を早くから開花させました。松竹キネマ研究所が製作した3作品すべてに出演後、研究所の解散に伴い、松竹キネマ蒲田撮影所へと移籍しました。

日活への移籍と時代劇への転身

1923年（大正12年）には、日活向島撮影所へと移籍。溝口健二監督の『情炎の巷』で主演を務め、その存在感を強く示しました。当時の向島撮影所では、女性役を男性が演じることが一般的でしたが、若山治監督の『哀愁の曲』では、酒井米子との共演を果たしました。しかし、同年9月1日の関東大震災によって撮影所は壊滅。京都の日活大将軍撮影所へと拠点を移すことになります。

1927年（昭和2年）、南光明は時代劇俳優へと転身。翌1928年（昭和3年）には、マキノ・プロダクションに入社し、マキノ正博監督の『蹴合鶏』に主演しました。特に、同監督の『浪人街 第一話 美しき獲物』は、高い評価を得て、南の代表作となりました。当時の雑誌記事によると、身長は171.2センチ、体重は73.1キロであったと記録されています。

戦後の活躍と晩年

第二次世界大戦後も時代劇を中心に活躍。1960年（昭和35年）3月25日、胃がんのため64歳でこの世を去りました。南光明は生涯で200本以上の映画に出演し、その演技力で多くの観客を魅了しました。

主な出演作品

• - 『路上の霊魂』(1921年、監督：村田実)
• - 『情炎の巷』(1923年、監督：溝口健二)
• - 『813』(1923年、監督：溝口健二)
• - 『哀愁の曲』(1923年、監督：若山治)
• - 『学窓を出でて』(1925年、監督：溝口健二)
• - 『皇恩』(1927年、監督：溝口健二)
• - 『砂絵呪縛』(1927年、監督：高橋寿康)
• - 『蹴合鶏』(1928年、監督：マキノ正博)
• - 『崇禅寺馬場』(1928年、監督：マキノ正博)
• - 『浪人街 第一話 美しき獲物』(1928年、監督：マキノ正博)
• - 『浪人街 第二話 楽屋風呂 第一篇』(1929年、監督：マキノ正博)
• - 『浪人街 第二話 楽屋風呂 解決篇』(1929年、監督：マキノ正博)
• - 『正伝 高山彦九郎』(1929年、監督：押本七之輔)
• - 『大化新政』(1930年、総監督：マキノ省三)
• - 『学生三代記 明治時代』(1930年、監督：マキノ正博 他)
• - 『噫! 南嶺三十八勇士』(1931年、監督：井出錦之助)
• - 『北満の落花 大和桜』(1932年、監督：井出錦之助)
• - 『錦西の血陣 古賀聯隊』(1932年、監督：井出錦之助)
• - 『雪之丞変化』(1935年-1936年、監督：衣笠貞之助)
• - 『蒙古襲来 敵国降伏』(1937年、監督：秋山耕作)
• - 『残菊物語』(1939年、監督：溝口健二)
• - 『歌麿をめぐる五人の女』(1946年、監督：溝口健二)
• - 『地獄の顔』(1947年、監督：大曽根辰夫)
• - 『女優須磨子の恋』(1947年、監督：溝口健二)
• - 『われ泣きぬれて』(1948年、監督：芦原正)
• - 『森の石松』(1949年、監督：吉村公三郎)
• - 『絵島生島』(1955年、監督：大庭秀雄)

参考資料

• - 『日本俳優名鑑 - 映画俳優の部』
• - 『無声映画俳優名鑑』

外部リンク

• - Komei Minami - IMDb（英語）
• - 南光明 - 日本映画データベース
• - 南光明 - KINENOTE
• - 南光明 - allcinema

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