酒井米子

酒井米子：舞台と映画を駆け抜けた女優の人生

酒井米子（さかいよねこ）は、1898年11月25日、東京府東京市神田区に生まれました。身長157.5cm、体重46.8kgの恵まれた体格を誇り、数々の舞台や映画で華麗な活躍を見せた女優です。

1904年、満6歳で伊庭孝一座にて初舞台を踏みます。その後、井上正夫一座を経て、女優としての道を歩み始めます。芸術座入団を志しましたが、実現には至りませんでした。

映画界への扉を開いたのは1920年2月。日活向島撮影所に入社し、新劇部門第三部の設立第一作『朝日さす前』で映画デビューを果たします。同作は1920年12月31日に公開され、大正10年の正月映画の主演という華々しいスタートを切りました。

日活在籍中は現代劇から時代劇へと活動の幅を広げ、スター女優として人気を博します。1921年3月に日活を退社、松竹蒲田撮影所を経て、1923年に日活向島撮影所に復帰しますが、同年9月1日の関東大震災で撮影所が被災し、日活大将軍撮影所へ異動しました。

1932年7月、日活を退社し、「酒井米子一座」を結成、舞台を中心に活動します。その後はフリーランスとして活躍の場を広げました。

映画界では、田中栄三監督作品をはじめ、溝口健二、島津保次郎、伊藤大輔など、錚々たる監督の作品に出演。日活時代劇では中心的な役どころを数多く演じ、時代劇スターとして一世を風靡しました。

彼女の出演作品は多岐に渡り、『朝日さす前』、『白ゆりのかほり』、『流れ行く女』といった初期作品から、『落花の舞』シリーズ、『修羅八荒』シリーズ、『鳴門秘帖』シリーズ、『地雷火組』シリーズなど、数多くのシリーズ作品にも出演しています。また、『日本橋』、『沓掛時次郎』、『紅蝙蝠』など、様々なジャンルの作品にも挑戦しました。晩年の作品としては、『恩愛十字路』（1938年）が挙げられます。

私生活では、息子に俳優の酒井欣也、娘に女優の九条和子（宝塚歌劇団花組所属、五十鈴千代名義でも活動）がいます。娘の孝子の父親は大谷光瑩と言われています。孫には、テレビ東京アナウンサーの茅原ますみがいます。

1958年10月15日、59歳でこの世を去りました。

酒井米子は、近代日本映画黎明期から昭和初期にかけて活躍した、重要な女優の一人です。舞台と映画という二つの世界で輝きを放ち、多くの名作を残しました。彼女の功績は、日本の映画史に永遠に刻まれるでしょう。その華麗なるキャリアと、多様な役柄を演じきった才能は、後世の俳優たちに大きな影響を与え続けています。 彼女の生き様は、日本の映画史における重要な一ページを飾るものと言えるでしょう。

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