南学

南学（なんがく）とは

南学は、日本の土佐（現在の高知県）で発展した朱子学の一派で、土佐南学、海南学派とも呼ばれています。単なる朱子学の解釈に留まらず、義理名分を重んじ、実践を伴うことを特徴とする学風でした。

南学の歴史

南学の始まりは戦国時代の天文年間まで遡ります。当時、土佐の領主であった吉良宣経は、学問を奨励し、儒学者である南村梅軒を周防（現在の山口県）から招きました。梅軒は土佐で四書五経など、朱子学の講義を行いました。これが南学の基礎となります。

梅軒の学問は、宣経の他にも、従兄弟の宣義、吸江庵の忍性、宗安寺の如渕、雪蹊寺の天質らに伝えられました。特に、天質の弟子である谷時中が江戸時代初期に南学の学風を確立させました。時中の門下からは、野中兼山、小倉三省、山崎闇斎といった著名な学者を輩出しましたが、その後一時的に途絶えてしまいます。

しかし、山崎闇斎の没後、その弟子である浅見絅斎に師事した谷秦山によって南学は復興されました。秦山は南学の理念を再構築し、土佐藩における学問の中心として、その影響力を再び高めました。

南学の特徴

南学は、単なる朱子学の解釈学ではなく、義理名分を重んじ、実践を重視する学風が特徴です。単に知識を学ぶだけでなく、その知識を現実社会でどのように活かすか、また、道徳的な行動をどのように実践するかが重視されました。

この実践を重視する姿勢が、土佐藩の政治や社会にも大きな影響を与えたと考えられています。南学は、土佐藩の学問の中心として、多くの人材を育成し、藩の発展に貢献しました。

南学ゆかりの地

南村梅軒が吉良宣経らに講義を行った場所は、高知県高知市の弘岡中薬師堂付近と伝えられており、現在では『南学発祥之地』の石碑が建てられています。この地は、南学の歴史を語る上で重要な場所であり、南学の研究者や関心を持つ人々にとっては、聖地とも言える場所になっています。

関連情報

南学に関わる人物である谷秦山の業績は、『朱子学大系』第12巻に収録されています。より深く南学について知りたい場合は、こちらの資料を参考にすると良いでしょう。

南学は、土佐の地で独自の発展を遂げた朱子学の一派であり、その学風は現代にもその影響を残しています。南学の研究は、日本の思想史を理解する上で重要な鍵となるでしょう。

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