南村梅軒

南村梅軒（みなみむら ばいけん、? - 天正7年（1579年）?）は、戦国時代の儒学者であり、号は離明翁と称しました。周防国（現在の山口県）の出身で、江戸時代に発展した土佐儒学、すなわち南学の祖として知られています。

梅軒は周防において大内義隆に仕え、その後、天文年間に土佐国へ渡り、弘岡城主であった吉良宣経に程朱学を講じたと伝えられています。吉良宣経の没後、再び周防へ戻り、大内義長に仕えましたが、隠棲した後、その地で生涯を終えました。谷時中らの南学は、彼の学問の系統を受け継いでいるとされています。主な著書として『三十六策問』が挙げられます。

しかし、近年の歴史学の研究が進展するにつれて、江戸時代初期の儒学者である大高坂芝山が捏造した架空の人物であるという説が有力になり、その存在が疑問視されるようになりました。この影響を受け、2003年度版からは山川出版社の高等学校検定教科書において、南村梅軒に関する記述が削除されるに至っています。

南村梅軒という人物の実在性については議論が続いていますが、土佐儒学の源流として伝えられてきたことは事実です。もし実在しない人物であるならば、大高坂芝山がどのような意図で南村梅軒という人物を作り上げたのか、という新たな疑問が生じます。今後の研究によって、南村梅軒の実像が解明されることが期待されます。

彼の学説や思想は、土佐における儒学の発展に大きな影響を与えたとされ、その影響は江戸時代を通じて南学の隆盛という形で現れました。南村梅軒をめぐる謎は、日本の思想史における興味深いテーマの一つであり、今後の研究の進展が待たれます。

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