南極の気候

南極の気候について

南極の気候は地球で最も厳しいものであり、寒冷で乾燥しているのが特徴です。この地域は、地球上で記録された最低温度−89.2℃を記録したボストーク基地を含む南極大陸で構成され、1983年7月21日に観測されたこの気温は、南極が寒極である理由を物語っています。南極は、乾燥と低温の厳しい環境が広がっており、降水量は年間平均166mmにとどまり、このため南極は砂漠に分類されることもあります。また、南極の空にも安定した大気が広がり、前線は内部にほとんど侵入しないため、内陸部では年間を通して氷が溶けることはほとんどありません。

南極と北極の気候の違い

南極が北極より寒い理由はいくつかあります。南極は大陸であり、内部に分厚い氷河が存在します。このため、北極点よりも高い標高に位置しています。地理的に孤立している南極は、周囲の温かい空気と冷たい空気の温度差が大きく、これが気圧差を生み出します。こうした条件下では、南極から吹き出す冷たい風が、南極海の低気圧や前線を形成し、温かい空気と分かれることで、寒冷な環境を維持しています。

南極の歴史

約2億年前、南極大陸は他の大陸と共にゴンドワナ大陸を形成していました。この時代、南極には氷床は存在せず、温暖な気候に包まれていました。しかし、数千万年を経て南極が南米から分かれ、冷たい空気の循環が始まったことで、南極は徐々に冷やされていきました。現在の氷に覆われた状態が形成されたのは、およそ500万年前、鮮新世の始まった頃です。

南極の温度

南極大陸は非常に低温で、年平均気温は−57℃に達する地域もあります。観測史上の極端な温度は−97.8℃で、これは2018年に記録されました。また、南極半島にあるエスペランサ基地では2020年に最高温度18.3℃が観測され、ごく限られた状態で気温が上昇することがあります。一般的に、南極では高い標高であるほど気温が低く、海岸付近は比較的温暖であるため、昭和基地では年平均気温が−10.5℃程度となっています。

南極の降水量

南極の降水量は非常に少なく、ほとんどが雪として降ります。内陸部では年間50mm以下の降水量の場所もあれば、南極半島近辺では多くなることが知られています。現在の南極は、極めて乾燥しており、気温が低いために水蒸気が飽和しにくく、科学者や探検家などには肌の乾燥を引き起こす要因となっています。

滑降風と氷の影響

南極の沿岸部では滑降風が強く、中央の高地から沿岸部に向かって冷たい空気が流れ込むため、風速は時に秒速19.5メートルにも達します。この滑降風は、積雪を舞い上げ地吹雪を引き起こす要因にもなります。さらに南極の氷床は厚く、平均で約1.6kmもあり、地球の氷と淡水の大部分を占めています。仮に南極の氷が全て融けると、海面は60m以上上昇すると予測され、これがもたらす影響は甚大です。

気候変動の影響

過去数十年にわたり、南極の気候は観測・研究されていますが、地域ごとに異なる変化が見られます。特に、南極半島では温暖化が進行している一方で、内陸部はほとんど変化しないか、逆に寒冷化が進んでいる場合もあります。最新のデータにより、南極全体としては温暖化が進行している可能性も指摘されていますが、まだ多くの定義や研究が必要とされています。このように、南極の気候は非常に複雑で、多くの要因が絡み合っています。

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