南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会

南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会

南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会は、気象庁が設置した有識者による会議体です。この検討会は、南海トラフ全域における地震発生の可能性を評価し、その結果を「南海トラフ地震に関連する情報」として発表する際に、専門家からの助言を得ることを目的としています。

概要

この評価検討会は、南海トラフ地震の発生可能性を評価するために、観測データの分析や専門的な知見に基づいた議論を行います。具体的には、観測データに異常が見られた場合に、その異常が南海トラフ地震と関連があるかを緊急に評価する臨時会合と、平常時から観測データの状況を把握するために原則として毎月1回開催される定例会合があります。

この評価検討会は、以前は東海地域を対象とした「地震防災対策強化地域判定会」と一体となって検討を行っています。これにより、過去の東海地震の知見も踏まえつつ、南海トラフ全域のリスク評価に取り組んでいます。

地震防災対策強化地域判定会

地震防災対策強化地域判定会は、大規模地震対策特別措置法に基づき、地震予知に関する判断を行うための組織です。1979年8月7日に発足し、気象庁長官が委嘱する私的諮問機関として活動しています。通称は「判定会」です。

歴史

判定会の前身は、1977年4月18日に地震予知連絡会の中の組織として発足した「東海地域判定会」です。当初は東海地震の予知を目的としていましたが、後に南海トラフ地震全体を対象とする評価検討会と一体化しました。

役割

判定会は、地震学研究の第一人者である6名の委員で構成され、大地震の発生可能性を事前に判定する、すなわち地震予知を行うことを任務としています。

具体的には、気象庁が設置した体積ひずみ計などの観測データに異常が現れた場合、大地震との関連性を検討し、その結果を気象庁長官に報告します。判定会で東海地震発生の恐れがあると正式に判定された場合、長官は地震予知情報を発表し、内閣総理大臣に報告、閣議を経て警戒宣言が発令されます。

判定会は、実際に観測データに異常が見られた場合にのみ招集されるだけでなく、平常時のデータを把握するために毎月1回定例会が開催されます。これは、異常発生時に迅速かつ正確な判断を下すための準備です。

東海地震から南海トラフ地震へ

2017年11月1日以降、判定会は「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」と一体となり、検討を行うようになりました。これにより、東海地震だけでなく、南海トラフ全域の地震リスクを包括的に評価する体制となりました。

沿革

1977年4月18日: 東海地域判定会が発足。
1978年12月14日: 大規模地震対策特別措置法が施行。
1979年8月7日: 地震防災対策強化地域判定会が設置され、東海地域判定会は廃止。
2009年8月11日: 駿河湾地震発生に伴い、初の臨時委員打合せ会が招集。
2011年1月25日: 会合の区別を廃止し、全て「判定会」と呼称。
2017年11月1日: 評価検討会が発足し、判定会と一体化。東海地震関連情報の発表は終了。
2024年8月8日: 日向灘地震発生に伴い、初の評価検討会（臨時）が開催され、「南海トラフ地震臨時情報（巨大地震注意）」が発表。

委員

現在の委員は以下の6名です。

平田直（会長、東京大学名誉教授）
小原一成（日本地震学会会長）
横田崇（愛知工業大学土木工学科教授）
古村孝志（東京大学地震研究所所長）
山岡耕春（名古屋大学大学院環境学研究科長）
加藤尚之（東京大学地震研究所教授）

外部リンク

南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会・地震防災対策強化地域判定会 - 気象庁

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