南清

南清（みなみ きよし）

南清は、日本の鉄道技術者および鉄道会社経営者として、明治時代の鉄道黎明期に多大な貢献をしました。山陽鉄道、筑豊興業鉄道、播但鉄道などで技師長・技術顧問を歴任し、阪鶴鉄道や唐津興業鉄道では社長を務めました。また、鉄道協会の副会長としても活躍し、日本の鉄道発展に尽力しました。

生い立ちと教育

1856年（安政3年）に、会津藩士の家に生まれました。戊辰戦争で兄を亡くすという経験をしながらも、上京して慶應義塾で学び、その後、工部省測量司の測量学校に入学し、測量の基礎を築きました。さらに、工部大学校（現在の東京大学工学部）に進学し、土木工学を修めました。工部大学校では、第1期生として卒業し、優秀な成績を収めました。

イギリス留学

1880年（明治13年）から3年間、イギリスのグラスゴー大学に留学しました。ここでは、高峰譲吉、志田林三郎、高山直質らと共同生活を送りながら、橋梁や築港工事について学びました。また、スペインでは鉄道や給水工事にも従事し、海外の先進的な技術を習得しました。この留学中に、イギリス土木学会の二等会員となっています。

鉄道技術者・経営者としての活躍

帰国後、工部省御用掛を経て、1890年（明治23年）に山陽鉄道会社の技師長兼建築課長に就任しました。その後、技術課長も兼務し、速水太郎など、後進の指導にもあたりました。日清戦争時には、中国地方の軍事輸送でその手腕を発揮し、功績を認められました。

1896年（明治29年）には、阪鶴鉄道に移り、総務顧問兼技師長に就任しました。翌年には社長に昇進し、亡くなるまでその職を務めました。また、同年には筑豊鉄道技師長の村上享一と共同で、大阪に鉄道工務所を設立し、鉄道および土木に関する測量、設計、工事監督などの業務を行いました。

鉄道協会の活動

1898年（明治31年）には、大阪に鉄道協会を発足させ、常議員、後に副会長として、鉄道業界の発展に貢献しました。東京の帝国鉄道協会との合併交渉にも尽力し、両協会の統合を実現しました。

1900年（明治33年）には、唐津興業鉄道の社長に就任し、九州鉄道との合併までその職を務めました。

死去

1904年（明治37年）、海外視察旅行の準備中に倒れ、10日後に亡くなりました。日本の鉄道発展に大きく貢献した南清の突然の訃報は、関係者に大きな衝撃を与えました。

栄典

1884年（明治17年）8月30日 - 正七位
1886年（明治19年）7月8日 - 従六位
1889年（明治22年）11月29日 - 大日本帝国憲法発布記念章

南清博士奨励記念賞

南清の功績を記念して、南清博士奨励記念賞が設けられました。この賞は、土木工学の分野で優れた業績を上げた人物に贈られ、秋山徳三郎などが受賞しています。

関連事項

国鉄5060形蒸気機関車 - 「K.MINAMI」と記したプレートが取り付けられていました。
* 丸山芳介

南清は、日本の鉄道技術の発展に大きく貢献した人物として、その名が記憶されています。

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