南葵文庫

南葵文庫（なんきぶんこ）

南葵文庫は、1902年（明治35年）に紀州徳川家当主であった徳川頼倫侯爵が、東京府麻布区飯倉の自邸内に開設した私立図書館です。

概要

徳川頼倫侯爵は、貴重な古書の散逸を防ぐために、自邸内にこの私設図書館を設けました。一時的に一般公開された時期もありましたが、関東大震災の翌年である1924年（大正13年）に、蔵書は東京帝国大学（現在の東京大学）の附属図書館へ寄贈され、文庫自体は閉鎖されました。

しかし、頼倫侯爵の長男である徳川頼貞が収集した音楽資料コレクションは、「南葵楽堂図書部」として旧南葵文庫の事務所で公開されました。

東京大学図書館に寄贈された資料の一部はデジタル化され、2022年（令和4年）にインターネット上で公開されています。

旧南葵文庫の建物

文庫の建物は、東京大学図書館の分館として使用された後、明治32年（1899年）に竣工した旧館を残して取り壊されました。残された旧館は、1933年（昭和8年）に頼倫侯爵の子である頼貞の別邸があった大磯へ移築されました。

その一部であるルネサンス様式の洋館は、1987年（昭和62年）に移築・改築され、熱海市伊豆山のホテル「VILLA DEL SOL」となりました。この建物は、2008年（平成20年）に国の登録有形文化財に登録されています。2016年（平成28年）時点では、星野リゾートが所有しています。

飯倉にあった跡地には、現在、外務省飯倉公館と麻布台ヒルズ森JPタワーが建っています。かつては「日本郵政グループ飯倉ビル（旧郵政本省庁舎）」もこの地に存在していました。

関連項目

蓬左文庫：尾張徳川家の蔵書を所蔵する図書館で、2016年（平成28年）現在、名古屋市博物館の分館となっています。
南葵音楽文庫

脚注

文化庁 (2016年). “国指定文化財等データベース ＞ 登録有形文化財（建造物） ＞ 旧南葵文庫”. 文化庁. 2016年11月11日閲覧。
和歌山県立博物館 (2010年9月14日). “和歌山県立博物館ニュース ＞ 南葵文庫（なんきぶんこ）旧館の歩み―旧南葵文庫「ヴィラ・デル・ソル」を訪ねて―”. 和歌山県立博物館. 2016年11月11日閲覧。

参考文献

坪田, 茉莉子『南葵文庫‐目学問・耳学問』東京都教職員互助会、2001年。全国書誌番号:20252474。

外部リンク

静岡県のとっておき建築探訪 南葵文庫（旧徳川頼倫邸）
* 東京大学総合図書館所蔵　南葵文庫

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