南部の唄

映画『南部の唄』について

『南部の唄』（Song of the South）は、アメリカのウォルト・ディズニー・プロダクションが制作した1946年の映画です。この長編作品は、実写とアニメーションを融合させた内容が特徴で、公開当初は大きな注目を集めました。日本では1951年に公開されましたが、現在では視聴困難な状況にあります。

映画の概要

本作の原作は、ジョーエル・チャンドラー・ハリスの『リーマスおじさん（Uncle Remus）』シリーズに基づいています。特に1880年と1883年に出版された著書『Uncle Remus; His Songs and His Sayings』および『Nights with Uncle Remus』が元となり、これらには約100の小話が収録されています。映画は南部の農場を舞台に、白人の少年ジョニーと黒人のリーマスおじさんの友情を描いています。実写部分は二人の心のふれあいに焦点を当て、その合間にリーマスおじさんが語るおとぎ話がアニメーションとして展開されます。1947年度アカデミー賞では、「ジッパ・ディー・ドゥー・ダー（Zip-a-Dee-Doo-Dah）」が歌曲賞を受賞し、リーマスおじさんを演じたジェームズ・バスケットは特別賞を受けるなど、評価が高い作品でもありました。

あらすじ

物語は、白人少年ジョニーが家族と共にアトランタから南部の農場に移住するところから始まります。父親が仕事で戻る中、さみしさを抱えるジョニーを慰めたのは、農場の下働きのリーマスおじさんのおとぎ話でした。リーマスが語るブレア・ラビットの物語は、知恵で仲間たちと困難を乗り越える内容で、ジョニーはそれに夢中になります。しかし、母親のサリーはその影響を良しとせず、リーマスおじさんとの関わりを制限しようとします。

ある日、誕生日パーティーでの出来事がきっかけとなり、ジョニーはリーマスおじさんが解雇される事態に。リーマスが去ることを恐れたジョニーは後を追いかけますが、事故に遭い重傷を負います。この時リーマスおじさんが再びサポートに戻り、彼の物語によってジョニーは意識を取り戻します。家族の絆が強まる中、リーマスおじさんとの再会を果たし、物語は希望に満ちた結末を迎えます。

黒人描写に関する論争

本作は、その黒人の描写に関して大きな論争を引き起こしました。公開当初、全米黒人地位向上協会（NAACP）が映画に対して抗議声明を発表。映画が描く黒人キャラクターの従順さや、古典的な描写がステレオタイプを強化すると指摘されました。ディズニー側は、舞台が南北戦争後であることを強調しましたが、本編内にはその明示的な描写がなかったことが問題視されました。

公開の自粛

映画は1986年以降、アメリカで公式に再公開されておらず、日本でも1992年以降に入手困難となりました。近年、動画配信サービス「Disney+」でも本作の配信が見送られています。女優ウーピー・ゴールドバーグはこの問題について議論の必要性を主張しましたが、作品の再公開には慎重な姿勢が見られます。

スプラッシュ・マウンテン

『南部の唄』は、ディズニーの人気アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」の基盤ともなっています。このアトラクションはアニメーション部分が強調され、実写キャラクターは登場しません。2020年の人種差別デモを受け、スプラッシュ・マウンテンはその題材を変更することが発表され、今後は新たに『プリンセスと魔法のキス』をテーマにしたアトラクションに改装される予定です。

◼️ 本作を通じて、アメリカ社会における人種や文化の理解を深める機会が提供されればと願います。

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