南部球吾

南部球吾

南部球吾（なんぶ きゅうご、1855年10月15日 - 1928年11月4日）は、明治時代から大正時代にかけて日本の鉱山技術者として活躍しました。

生い立ちと教育

南部球吾は、安政2年9月5日（1855年10月15日）に越前国福井藩士である南部広矛の次男として生まれました。幼少期から学問に励み、慶応2年（1866年）には藩の英学者、瓜生寅のもとで英学を修めました。明治維新後の1869年（明治2年）には開成学校に入学し、さらに1870年（明治3年）には大学南校へと進み、化学を専攻しました。ここで、近代的な科学技術の基礎を築きました。

アメリカ留学と帰国後の活躍

1875年（明治8年）、南部球吾は文部省の第1回アメリカ合衆国への留学生として選ばれ、長谷川芳之助とともにコロンビア大学で鉱山学を学びました。当時の日本は、欧米の技術を取り入れ、近代化を推し進めており、南部のような優秀な人材が海外で専門知識を学ぶことは、国家の発展にとって不可欠でした。1880年（明治13年）10月に帰国後、三菱に入社し、高島炭鉱の坑長に就任しました。高島炭鉱は、当時日本有数の炭鉱であり、そこで坑長を務めることは、彼の技術者としての能力の高さを証明するものでした。その後、工学博士の学位を取得し、大夕張炭礦取締役、東京倉庫取締役、本社鉱業部長兼炭坑部長、本社管事を歴任しました。これらの役職を通じて、日本の鉱業の発展に大きく貢献しました。

死去

1928年（昭和3年）11月4日、南部球吾は73歳で生涯を閉じました。彼の業績は、日本の鉱業技術の発展に大きく寄与し、後世に語り継がれています。

家族

南部球吾は、幕臣・藤沢親之の長女である屋須（やす）と結婚しました。屋須は、藤沢利喜太郎の妹にあたります。息子に南部太郎がおり、彼は工学士として三菱合資会社長崎造船所で技師を務めました。太郎の妻である志賀子は、手塚太郎（手塚治虫の祖父）の二女です。このように、南部球吾の家系は、日本の産業界や文化界に貢献する人材を輩出しました。

南部球吾は、日本の近代化を支えた鉱山技術者の一人として、その名が歴史に刻まれています。

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