長谷川芳之助

長谷川芳之助

長谷川芳之助（はせがわ よしのすけ、1856年1月22日（安政2年12月15日）- 1912年（大正元年）8月12日）は、明治時代に鉱山学者、実業家、そして政治家として多岐にわたる分野で活躍した人物です。彼は衆議院議員を務め、また、日本で初めて工学博士の学位を授与された5人のうちの一人としても知られています。

経歴

肥前国松浦郡唐津城下（現在の佐賀県唐津市）で、唐津藩士である長谷川久徴の長男として生を受けました。長谷川家は代々、唐津藩の数学師範を務めており、父は剣術にも秀でていました。芳之助は8歳で藩校に入学し、漢学を修めるとともに、父から数学、佐藤与造から蘭学を学びました。父の大阪在勤に伴い、1868年（明治元年）には長崎通詞の何礼之から英学を学び、大阪開成所（後の大阪英語学校）で英語を教えました。1872年（明治5年）には唐津藩の貢進生として大学南校に入学し、開成学校に改組された後は化学を専攻しました。

1875年（明治8年）7月、文部省の留学生としてアメリカ合衆国への留学を命じられ、南部球吾と共にコロンビア大学で採鉱冶金学を学びました。学位を取得後、帰国途中にドイツのフライブルク大学で製鉄業を研究し、1880年（明治13年）8月に帰国しました。

帰国後は三菱会社に入社し、高島炭鉱に配属されました。その後、吉岡鉱山長、本社副支配人兼尾去沢鉱山長などを歴任し、鉱山・炭鉱の開発、採掘、経営に深く関わりました。1896年（明治29年）に三菱を退社して帰郷し、肥前牟田部炭鉱、筑前藤棚炭鉱、赤堀炭鉱の経営に携わりました。また、日本の製鉄業創始を強く主張し、製鉄事業調査委員、製鉄所創立委員、製鉄所事業調査委員を歴任し、官営八幡製鐵所の創設に大きく貢献しました。

1902年（明治35年）8月には、第7回衆議院議員総選挙において鳥取県郡部から無所属で出馬し、当選を果たし、衆議院議員として1期を務めました。鳥取県から出馬した経緯は明らかではありません。国家主義を唱え、日露戦争前には対露同志会などに参加し、対外硬派としての姿勢を示しました。

親族

妻：長谷川なか（久保田政周の姉）
長男：長谷川久一（内務官僚）

長谷川芳之助は、日本の鉱業と製鉄業の発展に大きく貢献しただけでなく、政治家としても活躍し、日本の近代化に尽力した重要な人物です。

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