南隅軽便鉄道3形蒸気機関車

南隅軽便鉄道3形蒸気機関車の概要

南隅軽便鉄道の3形蒸気機関車は、元々南隅軽便鉄道、後に大隅鉄道へと引き継がれた蒸気機関車です。この機関車は後に国有化され、ケ270形に改編されました。今では鉄道史に名を刻む存在となっており、その構造や歴史は十分に興味深いものです。

構造

南隅軽便鉄道の3形蒸気機関車は、イギリススタイルの外側台枠を備えた飽和式タンク機関車です。全長は13トン級で、C形のタンク機関車として設計されています。この蒸気機関車は、川崎造船所によって建造され、川崎車輛および後の川崎重工業にとって、初の私鉄向け蒸気機関車となる重要な存在です。そうした背景からも、当機関車は技術革新の象徴とも言えるのです。

歴史

南隅軽便鉄道が開業する際、最初に計画されたのは3両の導入でしたが、予算の都合から最終的には2両に減りました。この機関車は、その後追加で導入されましたが、製造元が川崎造船所に変更されました。発注は1915年の10月1日で、翌1916年の3月末に納入されることになります。

当時の車両限界の変更も伴い、特に全幅が2,210 mmという、当時の基準を超える数値になっていたため、届け出が必要でした。この変更は、1916年の1月に提出され、3月24日に認可を受けています。

1935年には、大隅鉄道が国鉄に買収され、同時に古江線（後の大隅線）となり、この機関車もケ270形に変更される運命となります。しかし、利用頻度は低く、1938年には改軌が完了するものの、その後は休車扱いとなり、志布志機関区で保管されていました。その後、定置ボイラーとして使われ、1940年の5月に廃車となっています。

同形機の存在

南隅軽便鉄道3形蒸気機関車と同じ形の機関車は、他にも台湾向けに製造されたものが存在しています。その詳細は次の通りです。

• - 帝国製糖向け（2両）1911年製（製造番号 13, 14）
• - 帝国製糖向け（2両）1915年製（製造番号 219, 220）
• - 林本源製糖向け（1両）1916年製（製造番号 251）
• - 台湾製糖向け（1両）1918年製（製造番号 398）

このうち、林本源製糖に納入された機関車は、内地の楠木製作所に下取りされ、1920年に愛媛鉄道向けに改修されました。その際、台枠や走行装置が新製され、動輪直径は711 mmに拡大されるなどの変更が施されています。

結果的に、この機関車は愛媛鉄道の4号機となり、国有化に伴いケ260形（ケ260）に改番されました。愛媛線での利用は続きましたが、改軌工事完成後の1936年には廃車の運命を迎えました。これには、広島鉄道局に一時的に貸与されていたことが関係しているとされています。

参考文献

• - 臼井茂信「軽便機関車誌 国鉄狭軌軽便線15」『鉄道ファン』第278号、交友社、1984年6月
• - 臼井茂信「軽便機関車誌 国鉄狭軌軽便線16」『鉄道ファン』第280号、交友社、1984年8月
• - 川崎重工業株式会社 車両事業本部 編 『蒸気機関車から超高速車両まで 写真で見る兵庫工場90年の鉄道車両製造史』、交友社（翻刻）、1996年
• - 金田茂裕『形式別 国鉄の蒸気機関車 別冊 国鉄軽便線の機関車』、エリエイ出版部刊、1987年

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