大隅線

大隅線とは

大隅線は、かつて鹿児島県の志布志駅から国分駅までを結んでいた、日本国有鉄道（国鉄）の地方交通線です。1987年に全線が廃止され、現在はその跡地の一部が道路や遊歩道として活用されています。

概要

大隅線は、大隅半島の主要都市である垂水市、鹿屋市、志布志市と、当時の国分市を結ぶ路線として計画されました。しかし、開通前から自動車交通が発達しており、特に垂水方面へはフェリーを利用する方が便利だったため、鉄道の利用は伸び悩みました。

その結果、大隅半島は鉄道空白地帯となり、鹿児島市方面への鉄道アクセスは現在も不便な状況です。

路線データ（廃止時）

管轄：日本国有鉄道
区間：志布志 - 鹿屋 - 国分 98.3km
軌間：1067mm
駅数：33（起終点駅含む）
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：なし（全線非電化）
閉塞方式：
志布志駅 - 古江駅：タブレット閉塞式
古江駅 - 国分駅：自動閉塞式（特殊）

運行形態

大隅線は、志布志方面に向かうにつれて列車本数が多くなる一方、鹿児島方面への列車は少ないという特徴がありました。これは、自動車交通の発達に加え、垂水からフェリーを利用する方が鹿児島への近道だったことが要因と考えられます。

廃止直前の運行形態は以下の通りでした。

快速
志布志 - 国分「大隅」上下1往復（朝:下り、夜:上り、下りの志布志 - 鹿屋間は普通列車、国分より西鹿児島駅まで乗り入れ）
志布志 - 鹿屋「佐多」上下1往復（志布志より宮崎駅まで乗り入れ）
いずれも急行からの格下げ
普通
志布志 - 鹿屋：上り10本、下り9本
鹿屋 - 古江：上下7往復
古江 - 垂水：上り6本、下り7本
垂水 - 国分：上下5往復
その他、区間運転多数

歴史

大隅線の歴史は、1915年に開業した南隅軽便鉄道に始まります。この路線はその後、大隅鉄道と名前を変え、1935年には国有化されて古江線となりました。その後、路線は延伸され、1972年に全線が開通し、同時に大隅線と改称されました。

しかし、開通前から自動車交通が発達していたことなどから、利用は低迷し、1984年に廃止が決定、1987年に全線が廃止されました。なお、1972年の延長区間は、全国で最後に開業した特定地方交通線となりました。

南隅軽便鉄道→大隅鉄道→古江線→古江西線

1915年：南隅軽便鉄道が高須 - 鹿屋間を開業
1916年：大隅鉄道に社名変更
1923年：古江 - 串良間が全通
1935年：大隅鉄道が買収・国有化され、古江線となる
1935年：古江東線が志布志から東串良まで開業
1938年：古江西線の改軌が完成し、古江東線と統合、古江線となる

古江線→大隅線

1961年：古江 - 海潟間が開業
1972年：海潟 - 国分間が開業し全通。同時に大隅線と改称。

廃止

1984年：第2次特定地方交通線として廃止承認
1987年：全線廃止、バス路線に転換

駅一覧

（省略）

現状

大隅線の跡地は、道路、遊歩道、農道などに転用され、比較的たどりやすい状態です。一部区間では、距離標や勾配標がそのまま残されています。また、トンネルや橋梁の一部が、フィットネスコースやサイクリングロードとして整備され、活用されています。

国道220号線沿いの山側には、路盤や橋梁の跡が断続的に見られ、かつて鉄道が走っていた名残を感じることができます。

その他

大隅線は、その短い歴史の中で、地域の交通体系に大きな影響を与えました。廃止後は、バス路線が代替として運行されましたが、その後のバス路線の撤退など、課題も残されています。

大隅線の歴史は、鉄道が地域社会に与える影響や、時代の変化とともにその役割が変化していくことを示唆する事例と言えるでしょう。

脚注

（省略）

関連項目

日本の廃止[[鉄道路線一覧]]
国鉄の特殊狭軌線
東九州[[自動車道]]

外部リンク

（省略）

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