南鷹次郎

南鷹次郎

南鷹次郎（みなみ たかじろう、1859年4月18日 - 1936年8月9日）は、日本の農学者であり、農学博士。北海道帝国大学（現在の北海道大学）の名誉教授、そして総長を歴任し、日本の農業、特に北海道の農業発展に多大な貢献を果たしました。肥前国大村（現在の長崎県大村市）出身。

生い立ちと教育

南鷹次郎は、肥前国大村藩の藩士、南仁兵衛の次男として生まれ、幼名を久作と名付けられました。伯母の嫁ぎ先である末松家の養子となりましたが、実兄の病弱により実家に戻ります。9歳で藩校五教館に入学し、学問を修めました。14歳の時には、半ば出奔する形で長崎の広運学校へ移り、その後上京。工学寮（後の工部大学校、現在の東京大学工学部の前身）の小学校（予科に相当）に入学しました。1877年（明治10年）4月に工部大学校へ進学しますが、官費生選抜に漏れたため、同年9月には札幌農学校（現在の北海道大学）の第2期生として新たな道を歩み始めました。札幌農学校では、町村金弥、新渡戸稲造、宮部金吾、内村鑑三、広井勇といった、後に日本を代表する人物たちと同期でした。在学中の1879年（明治12年）には池田姓を名乗るも、1884年（明治17年）に再び南姓に戻っています。1883年（明治16年）8月には長屋高子と結婚し、二男五女をもうけました。長男は産業医学者の南俊治です。

業績

南鷹次郎は学生時代、獣医学を専門としていましたが、当時の札幌農学校では教官が不足しており、農学全般の講義を担当することとなりました。1883年に助教に就任して以来、1919年に農学部長となり農場長を免じられるまでの36年間、農場の責任者としてその整備と拡充に尽力しました。1905年には、樺太民政署からの依頼で、樺太の「殖民地選定事業」のための5か年計画作成のための拓殖調査を行っています。

研究分野は作物学を中心に、果樹園芸学、畜産学と多岐にわたりました。また、農芸伝習科（後の農芸科、農学実科）の主任として、幅広い指導を行い、北海道農会や北海道信用購買組合連合会（現在のホクレン）の会長なども務めました。

外遊

南鷹次郎は、国際的な視野も持ち合わせていました。1891年（明治26年）には、コロンブス世界博覧会の審査官を委嘱されたことを機に、アメリカと英領カナダを視察。1909年（明治42年）には、米国実業視察団の一員として渡米しています。その他、1910年（明治43年）には満州、1915年（大正4年）には台湾、1923年（大正12年）には欧米各国へと視察に赴き、各国の農業事情を学びました。

略歴

1877年（明治10年）9月：札幌農学校に入学。
1881年（明治14年）7月9日：札幌農学校を卒業。農学士の称号を得る。
1881年（明治14年）7月27日：開拓使御用掛となり、宮部金吾と共に学務局督学課へ配属。
1881年（明治14年）12月1日：駒場農学校と兼任の形で助手として国内留学。
1883年（明治16年）3月26日：札幌農学校助教に就任。
1889年（明治22年）9月11日：札幌農学校教授に昇進。
1895年（明治28年）4月5日：文部省移管に伴い農事部長（後の農場長）に就任。
1898年（明治29年）11月23日：札幌農学会発足に伴い会頭に就任。
1899年（明治32年）6月5日：博士会認定により農学博士の学位を取得。
1919年（大正8年）4月：北海道帝国大学初代農学部長に就任。
1927年（昭和2年）4月28日：北海道大学を辞職退官。同名誉教授の称号を受ける（5月27日）。北海道農会会長を務める。
1930年（昭和5年）12月19日：北海道帝国大学総長に就任。
1933年（昭和8年）12月9日：北海道帝国大学総長を病気により辞任。財団法人苗邨学園理事を務める。

栄典

南鷹次郎は、その功績により、数々の位階、勲章等を受けています。

位階：正三位
勲章等：勲一等瑞宝章、旭日重光章、大日本農会紫白綬有功章

会員

日本園芸研究会名誉会員
北海道農会名誉会員
札幌外四郡地主会名誉会員

南鷹次郎は、日本の農業、特に北海道の農業発展に大きく貢献した人物として、その名が歴史に刻まれています。

もう一度検索