印旛車両基地

印旛車両基地（いんばしゃりょうきち）は、千葉県印西市みどり台に設置された北総鉄道の鉄道車両基地です。この施設は千葉ニュータウン鉄道株式会社が所有し、北総鉄道株式会社が管理・運営を担っています。北総鉄道の印西牧の原駅の東側に隣接しており、北総鉄道と千葉ニュータウン鉄道が保有する車両の日常的な管理や保守作業が行われています。

概要

この車両基地は、かつて西白井駅に設けられていた車両検修施設の機能を引き継ぐ形で建設されました。2000年7月の印旛日本医大駅開業と同時に使用が開始されています。施設の所有権は千葉ニュータウン鉄道にありますが、実際の管理業務は北総鉄道によって実施されています。施設は日々の検修作業に特化しており、車両の最も大規模な検査である全般検査は、京成電鉄の宗吾車両基地で実施されます。このため、全般検査の対象車両が回送や試運転を行う際には、京成本線を経由するため、同線上を走行する姿が見られます。

現在の車両収容能力は約100両です。2010年7月に開業した京成成田空港線（成田スカイアクセス線）の運行開始や、将来的な輸送量増加に伴う車両数の増加に対応できる構造で設計されており、今後の発展に備えています。また、敷地面積に余裕があり、周辺の道路状況も比較的整備されているため、京成グループに属する他の鉄道会社（京成電鉄、新京成電鉄など）が新規に導入する車両を陸上輸送で搬入する際、その受け入れ場所として利用されることがあります。ここで搬入された新造車両は、京成高砂駅や京成津田沼駅を経由し、自力で宗吾車両基地やくぬぎ山車両基地へ回送されます。

所属車両

印旛車両基地には、北総鉄道および千葉ニュータウン鉄道が所有する様々な形式の車両が所属しています。また、相互直通運転を行っている東京都交通局、京浜急行電鉄、京成電鉄の車両も入庫することがあります。

現在所属する車両

7300形: 8両編成5本（合計40両）が配置されています。このうち3本は京成電鉄3700形電車からのリース車両です。
7500形: 8両編成3本（合計24両）が配置されています。
9100形: 8両編成3本（合計24両）が配置されており、これは千葉ニュータウン鉄道の所有車両です。
9200形: 8両編成1本（合計8両）が配置されており、これも千葉ニュータウン鉄道の所有車両です。
9800形: 8両編成1本（合計8両）が配置されており、千葉ニュータウン鉄道の所有車両です。京成電鉄3700形電車からのリース車両です。

上記以外にも、2002年に北総鉄道に一時的に貸し出された京成3400形電車3408編成が入線した実績や、年に一度実施される北総鉄道・京成電鉄の異常時合同訓練の際に、訓練用として京成電鉄から借用した京成AE形電車（2代）が入線することがあります。

過去に所属していた車両

7260形: かつて8両編成1本（合計8両）が配置されていました。京成電鉄3300形電車からのリース車両で、編成は4両+4両の構成でした。
7250形: 過去に8両編成1本（合計8両）が配置されていました。京成電鉄3200形電車からのリース車両で、7260形の導入に伴って廃車されました。
7000形: かつて8両編成3本（合計24両）が配置されていました。7500形の導入により置き換えが進み、2007年3月に全て廃車となり、形式消滅となりました。
7050形: 過去に8両編成2本（合計16両）が配置されていました。京成電鉄3150形電車からのリース車両で、7300形7808編成や7250形の導入によって廃車されました。
7150形: かつて4両編成2本と8両編成1本（合計16両）が配置されていました。元京浜急行電鉄1000形電車（初代）で、7050形の導入により廃車されました。
9000形: 千葉ニュータウン鉄道が所有し、かつて8両編成2本（合計16両）が配置されていました。9200形の導入により1本が廃車された後、9800形の導入により2017年3月に全て廃車となりました。

歴史

2000年7月: 施設が供用を開始しました。当初は「都市基盤整備公団車両基地」という名称でした。
2003年12月: かつて所属していた7050形電車の引退を記念するイベントが開催されました。このイベントは、当時のNHKのニュース番組で「最古の地下鉄直通車両が引退」として取り上げられました。
2004年7月: 都市基盤整備公団が独立行政法人へ移行したことに伴い、車両基地の施設所有権が千葉ニュータウン鉄道に移管されました。これと同時に、運営組織名が「北総開発鉄道」から「北総鉄道」へ、路線名が「北総・公団線」から「北総線」へと変更されています。
2005年4月: 新京成電鉄が新たに導入したN800形電車の最初の編成（N818編成）が陸上輸送で搬入されました。
2006年5月: 過去の所属車両であった7000形電車の解体作業が敷地内で行われました。
2009年5月: 京成電鉄の新型スカイライナーとして導入される京成AE形電車（2代）の最初の編成が陸上輸送で搬入されました。
2011年1月: 新京成電鉄N800形電車の2番目の編成（N828編成）が陸上輸送で搬入されました。
* 2012年9月: 新京成電鉄N800形電車の3番目の編成（N838編成）が陸上輸送で搬入されました。

その他

印旛車両基地では、鉄道ファンや地域住民向けのイベントが定期的に開催されています。毎年夏休みには小学生を対象とした「ほくそう電車教室」が開かれ、秋には一般向けの「ほくそう車両基地まつり」が実施されています。
また、この車両基地は様々なメディア作品のロケーションとしても利用されています。特撮テレビドラマ『烈車戦隊トッキュウジャー』の放送第1回目の戦闘シーンや、『爆上戦隊ブンブンジャー』の第32話のロケーションに使用され、7500形や京成3000形などの車両と共に登場しました。サントリーのコーヒーブランド『ボス』の30周年記念CMや、日本テレビ系列のテレビ番組『THE突破ファイル』（2024年2月8日放送回）の突破交番の一部シーンでも、所属車両と共に映像に映っています。

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