厚木勝基

厚木勝基（あつぎ かつもと）

厚木勝基は、1887年3月4日に生まれ、1959年12月8日に亡くなった日本の工業化学者です。東京帝国大学（現：東京大学）を卒業後、米沢高等工業学校（現：山形大学工学部）で教鞭を執り、その後、東京帝国大学教授に就任しました。専門は繊維素化学であり、セルロイドや人造絹糸の研究で顕著な業績を上げました。

学歴と職歴

1887年：3月4日、誕生。
東京帝国大学工科大学（現：東京大学工学部）卒業。
米沢高等工業学校（現：山形大学工学部）教授。
1921年：東京帝国大学教授に就任。
1923年12月：東京大学より工学博士の学位を取得。学位論文の題は「Studies on stability, viscosity and solubility of cellulose nitrate for celluloid from varions materials, and stability of celluloid」。

学会活動

厚木勝基は、研究活動だけでなく、学会活動にも積極的に参加しました。

工業化学会会長
1943年：繊維学会会長

受賞歴と栄典

厚木勝基の業績は、多くの人に認められました。

工業化学会有功章を受賞。
1934年（昭和9年）4月16日：従四位
1939年（昭和14年）5月1日：正四位

研究内容

厚木勝基の研究は、セルロイドや人造絹糸などの繊維素化学に焦点を当てていました。特に、セルロイドの安定性、粘度、溶解性に関する研究や、様々な材料からのセルロース硝酸塩の製造に関する研究は、当時の工業化学において重要な貢献となりました。また、パルプや紙、木材の化学的応用に関する研究も行い、その知見を著書にまとめました。

著書

厚木勝基は、研究成果をまとめた著書を多数出版しました。これらの著書は、当時の学生や研究者にとって貴重な教科書や参考書となり、日本の化学工業の発展に大きく貢献しました。

1927年：『人造絹糸』 丸善
1929年：『繊維素化学工業』 共立社
1930年：『人造絹糸及びセルロイド』 三省堂
1930年：『パルプ及紙』 丸善
1937年：『人絹・ステープルファイバー・パルプ最近の進歩を語る』 帝国人造絹糸株式会社調査室（編） 帝国人造絹糸
1941年：『化学工業通論』 丸善
1944年：『木材の化学及化学的応用』 誠文堂新光社
1949年：『紡織繊維学. 各論』 裳華房
1956年：『繊維素化学及工業』 丸善

共著・共編

1928年：『児童物理化学物語』 興文社（共著）
1949年：『最近工業化学辞典』 丸善出版（共編）

親族

厚木勝基の親族には、医学者や実業家がいます。

叔母：瀬川寿々（医学者瀬川昌耆の妻）
従兄弟：瀬川昌世（医学者）
従兄弟：瀬川昌邦（実業家）

没後

厚木勝基は、1959年12月8日にその生涯を閉じました。彼の残した業績は、日本の工業化学の発展に大きく貢献し、後世に語り継がれています。

参考資料

* 『昭和人名事典』日本図書センター

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