瀬川昌邦

瀬川昌邦は、1894年8月29日に医学者である瀬川昌耆の次男として東京で生まれました。彼は東京帝国大学法科大学（現在の東京大学法学部）を1918年に卒業後、山下合名汽船（現在の商船三井）に入社し、社会人としてのキャリアをスタートさせました。

1922年、瀬川は東京市電気局に転じ、庶務課庶務係長に就任しました。その後、同課長などを経て、東京市電気研究所の所長という要職を務めました。また、住宅営団の理事にも名を連ね、当時の住宅政策にも深く関与しました。さらに、テレビ普及株式会社では常務取締役として、黎明期のテレビ放送の普及に尽力しました。1955年には、全国無線工事業連盟の会長に就任し、無線通信業界の発展にも貢献しました。

瀬川の多岐にわたる活躍は、実業界における彼の卓越した能力を示すものです。彼の経歴は、戦前・戦後の日本の社会、経済、技術の発展に深く関わっていたことを物語っています。しかし、彼の没年は現在も不明であり、その晩年については詳しい情報が残されていません。


瀬川の家族構成もまた特筆すべき点です。父の瀬川昌耆は医学者であり、母の瀬川寿々は工学博士厚木勝基の叔母にあたります。兄の瀬川昌世も医学者であり、妹の瀬川順子は男爵小池正晁の妻となりました。妻の京は横堀治三郎の妻であり、長男の瀬川昌久は評論家、二男の瀬川昌治は映画監督・脚本家、三男の瀬川昌昭は株式会社瀬川事務所の社長として活躍しました。この家族構成からも、瀬川家が多方面で才能を発揮していたことが伺えます。

瀬川昌邦の生涯は、日本の近代化と発展を支えた実業家の一人としての足跡を鮮やかに示しています。彼の業績は、今日の社会の基盤を築く上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。


参考資料：『昭和人名事典』 日本図書センター

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