瀬川昌耆

瀬川昌耆（せがわ まさとし）

プロフィール

瀬川昌耆は、1856年（安政3年）に江戸で生まれ、1920年（大正9年）に没した日本の医学者、小児科医です。医学博士の学位を持ち、瀬川小児病院の初代院長を務めました。彼の業績は、日本の小児医療の発展に大きく貢献したことで知られています。

生涯

1856年（安政3年）5月20日、江戸（現在の東京都）に生まれた瀬川昌耆は、1882年（明治15年）に東京大学医学部を卒業しました。その後、宮城県立宮城医学校（現在の東北大学医学部）の講師となり、1886年（明治19年）には同校の校長に就任しました。

1888年（明治21年）にはドイツへ留学し、最新の医学を学びました。1891年（明治24年）に帰国後、千葉県高等学校医学部部長に就任。1898年（明治31年）には、自身の病院である瀬川小児病院を設立し、院長として医療活動に尽力しました。

1920年（大正9年）12月21日、生涯を終えました。彼の墓は青山霊園にあります。

業績

瀬川昌耆は、小児科医としての臨床活動の傍ら、数多くの著書を執筆しました。これらの著書は、当時の医療現場や家庭における育児に関する知識を普及させ、人々の健康増進に貢献しました。主な著書には、『病家必携』、『學校衛生法綱要』、『學校衛生』、『實驗の育兒』、『胃癌と胃病』、『身體強壯法』、『最新育兒のをしへ』、『最新小兒病手當法』、『病兒及虚弱兒の養育法』などがあります。また、訳著や監修にも携わり、『小児病各論』の翻訳や『病名便覧』の監修を行っています。

栄典

1891年（明治24年）12月21日には従六位、1896年（明治29年）5月30日には正六位に叙されています。

家族

瀬川家は代々医者の家系であり、五世祖父の瀬川元浩から、高祖父の瀬川丈庵、曾祖父の瀬川淘以、祖父の瀬川淳庵、そして父の瀬川昌蔵まで、多くの医者を輩出しています。妻の瀬川寿々は工学博士の厚木勝基の叔母にあたります。

長男の瀬川昌世は医学博士で、瀬川小児病院の2代目院長を務めました。また、古市公威（男爵・工学博士）の娘婿でもあります。養孫の瀬川功は瀬川小児病院の3代目院長です。曾孫には医学博士で瀬川小児神経学クリニック院長の瀬川昌也、ヴァイオリニストの瀬川祥子、（株）美味と健康顧問の瀬川昌威、（株）昌平不動産総合研究所社長の瀬川昌輝がいます。二男の瀬川昌邦は実業家、孫には評論家の瀬川昌久、映画監督・脚本家の瀬川昌治、（株）瀬川事務所社長の瀬川昌昭がいます。次女の瀬川順子は、小池正晁（男爵・医学博士）と結婚しました。

著書

『病家必携』 瀬川昌耆、1888年（明治21年）
『學校衛生法綱要』 瀬川昌耆、1893年（明治26年）
『學校衛生』 金港堂、1904年（明治37年）
『實驗の育兒』 新橋堂、1906年（明治39年）
『胃癌と胃病』 広文堂書店、1912年
『身體強壯法』 広文堂、1912年
『最新育兒のをしへ』 至誠堂書店、1913年（大正2年）
『最新小兒病手當法』 至誠堂書店、1914年（大正3年）
『病兒及虚弱兒の養育法』 新橋堂書店、1916年（大正5年）
『茶の湯釜』 瀬川昌世（編纂） 至誠堂書店、1933年（昭和8年）

訳著

『小児病各論』 瀬川昌春、1884年（明治17年）

監修

『病名便覧』 黒沢惟則（編纂） 静水堂、1884年

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