原乙未生

原乙未生の人生と業績

原乙未生（はら とみお、1895年6月12日 - 1990年11月16日）は、日本陸軍の中将であり、「日本戦車の父」とも称される著名な軍人です。彼の生涯は、戦車開発の歴史と密接に結びついています。

初期の経歴

原乙未生は福岡県に生まれ、父は陸軍の大尉でした。熊本陸軍地方幼年学校や中央幼年学校を経て、1915年の陸軍士官学校を優秀な成績で卒業しました。その後、砲兵少尉として重砲兵第5連隊に配属。1918年には陸軍砲工学校の高等科も優等で卒業し、東京帝国大学で機械工学を学び、戦車設計についての卒論を完成させました。

1923年3月に中尉に昇進後、陸軍技術本部に勤務し、国産戦車の必要性を主張しました。1925年には陸軍大尉に昇進し、試製一号戦車の開発に関わりました。ここで原はクラッチ・ブレーキ式操向装置に遊星歯車式システムを組み込み、その設計は後の日本戦車に広く採用されました。

海外経験と技術の深化

1928年から1930年にかけて原は独英に駐在し、戦車や自動車産業の技術を学びました。帰国後、九四式軽装甲車の開発にも取り組み、シーソー式連動懸架方式を考案しました。この技術も後の日本戦車において標準的なものとして受け入れられました。

さらに、1936年には九七式中[[戦車]]の開発に参加し、実戦部隊の指導にも関わりました。特に戦車第8連隊の連隊長として、北支方面での戦闘を指揮し、後に著名な戦車指揮官となる部下も育成しました。

昭和時代の軍事活動

1940年には少将に昇進、技術本部の重要な部署に就任し、戦車と自動車の研究開発を進めました。彼の考えは、戦争における機械化の必要性を強く訴えるものでした。1940年にはドイツの新兵器開発を視察し、技術的な情報を得ました。

1943年には兵器開発への貢献により中将に昇進し、終戦を迎える1945年には中国軍需監理部長として活動していました。このように、原の生涯は戦車技術の推進と日本陸軍の機械化に深く寄与したものといえるでしょう。

著作とその影響

原乙未生はまた、戦車技術についての著作も残しており、特に「機械化兵器開発史」や「日本の戦車」において自身の経験や見解をまとめています。これらの著作は、戦車技術や陸軍兵器についての貴重な資料となっています。防衛庁顧問としても軍事技術への見識を示し、時代を超えて多くの人々に影響を与えました。

終焉と影響

晩年、原乙未生は公職から追放されましたが、1953年には日本兵器工業会の常任理事に就任し、再び軍事技術の発展に寄与しました。1990年に95歳でこの世を去るまで、彼の業績は日本の陸軍技術に多大な影響を及ぼし続けました。原の挑戦と成果は、今なお多くの専門家や後進に受け継がれているのです。

このように、原乙未生はその人生を通じて日本の戦車技術を育み続け、「日本戦車の父」としての名声を確立しました。

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