原田恭明

原田 恭明

原田 恭明（はらだ やすあき）氏は、1959年に愛知県豊田市に生まれた日本の美術監督です。長年にわたり、映画、テレビ、CM、舞台といった様々な映像・演劇作品の美術制作を支え、その世界観の構築に深く関わってきました。

経歴

日本大学藝術学部を卒業後、原田氏はフリーランスとして美術助手の道を歩み始めます。黎明期のキャリアにおいては、東宝、東映、日活といった日本の主要な映画製作会社で多くの作品の現場に参加し、美術の技術とノウハウを習得しました。1987年には、中原俊監督の映画『シャコタン☆ブギ』において美術デザイナーとして正式にクレジットされ、これがプロとしての第一歩となりました。その後も美術助手としての経験を積みながら、1992年には井筒和幸監督の映画『東方見聞録』でセットデザイナーを務めるなど、重要な役割を担うようになります。多くの映画の美術部門において、欠かせない存在として活躍しました。

多様な活動分野

原田恭明氏の活躍は、映画美術だけにとどまりません。CM美術においてもその才能を発揮し、消費者に広く認知されている数々のコマーシャルの映像世界を創り上げてきました。特に有名なものとしては、ソフトバンクモバイルのユニークな「白戸家シリーズ」が挙げられます。その他にも、静岡のパチンコホール企業である新日邦の「コンコルド」、都市生活を支える「東京ガス」、教育サービスの「NOVA」、日本の大動脈を担う「JR東日本」、国民的な外食チェーン「吉野家」、個性的なお菓子を提供するUHA味覚糖の「さけるグミ」、ビールの定番であるKIRIN「一番搾り」、そして日本生命など、多様な業種の広告美術を手がけ、その活動範囲の広さを示しています。

また、未来のクリエイター育成にも力を注いでおり、名古屋シネマスコーレ映画塾や、早稲田大学で開催された映画に関する特別講義「マスターズ・オブ・シネマ 映画のすべて」などで講師を務め、自身の豊富な現場経験に基づいた知識や技術を伝える活動も行っています。

主な担当作品

原田氏が美術監督、デザイナー、アートディレクターとして携わった代表的な作品群は以下の通りです。

映画

『シャコタン☆ブギ』（1987年）
『東方見聞録』（1992年、セットデザイン）
『目下の恋人』（2002年）
『アカルイミライ』（2003年）
『イントゥ・ザ・サン』（2005年、日本ユニット、アートディレクター）
『日本沈没』（2006年）
『やわらかい生活』（2006年）
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』（2007年）
『クヒオ大佐』（2009年）
『ACACIA -アカシア-』（2010年）
『ミツコ感覚』（2011年）
『DOG×POLICE 純白の絆』（2011年）
『GANTZ』（2011年）
『GANTZ:PERFECT ANSWER』（2011年）
『貞子3D』（2012年）
『ガッチャマン』（2013年）
『偉大なる、しゅららぼん』（2014年）
『MONSTERZ モンスターズ』（2014年）
『劇場霊』（2015年）
『ぼくのおじさん』（2016年）
『東京喰種』（2017年）
『ラブ×ドック』（2018年）
『よこがお』（2019年）
『草の響き』（2021年）
『文豪ストレイドックスBEAST』（2022年）
『花腐し』（2023年） - 第78回毎日映画コンクール 美術賞ノミネート
『青春ジャック 〜止められるか、俺たちを２〜』（2024年）
『火の華』（2024年）

ショートフィルム

『ボヌールハイツ』（2001年）
『bunkatsu』（2006年）
『Snowman』（2017年）
『僕の翼は、足になった。My wings became my legs.』（2023年）
『深骨』（2023年）

オリジナルビデオ

『傷だらけのライセンス』（1991年）

テレビ

『変装〜自分の未来を旅した女〜』（1988年、ドラマスペシャル）
『治療』（2001年、SMAP×SMAP特番）
『マンホール』（2002年、世にも奇妙な物語）
『ANOTHER GANTZ』（2011年、金曜特別ロードショー）

プロモーションビデオ

加藤紀子「ふゆがきた」（1997年）
Hysteric Blue「グロウアップ」（2000年）
T.M.Revolution「魔弾〜Der Freischuts〜」（2000年）

舞台

『葡萄と密会』（2004年）
『乞食と貴婦人』（2005年）
『クレブス・ペルオスの迫害と恐怖』（2006年）
『若い夫のすてきな微笑み』（2007年）
『新しい歌 〜tyto nove pisnicky〜』（2008年）
『新しい橋 〜le pont neuf〜』（2008年）
『新しい男』（2009年）
『食卓ロマン』（2009年）
『微笑の壁』（2010年）

長きにわたるキャリアの中で、数多くの作品の映像・空間表現に貢献してきた原田氏。2023年の映画『花腐し』で毎日映画コンクール美術賞にノミネートされるなど、その功績は各方面から高く評価されています。

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