原田神社

原田神社：歴史と文化が息づく豊中市の府社

大阪府豊中市の中央部に位置する原田神社は、古くから地域の人々に篤く信仰されてきた府社です。社伝によれば、4世紀後半から5世紀末頃、桜塚古墳群の跡地に創建されたと伝えられています。創建当初は素戔嗚尊など五神を祀る祇園神社と呼ばれ、古代より人々の祈りを集めていました。天武天皇が神宝を奉納したという伝承も残されていますが、創建年代は未だ明らかではありません。

鎌倉時代以降は牛頭天王信仰と習合し、摂津国中西部72村の産土神として「西牧総社」と呼ばれ、広く信仰を集めるようになりました。足利氏の庇護も受け、神領として西牧六車の庄を寄進されています。

しかし、天正6年（1578年）の荒木村重の兵火により、社殿は焼失。その後、仮殿を経て慶安5年（1652年）に現在の本殿が再建されました。貞享2年（1685年）には「原田大明神」の神号を賜り、現在の社名となりました。江戸時代には境内地は狭まりましたが、門前町は能勢街道と伊丹街道の結節点として栄え、現在の岡町の基礎を築きました。明治43年（1910年）に開通した阪急電車は、神社のすぐそばに岡町駅が設置され、人々の生活と深く結びついています。

明治時代には郷社に列格、昭和16年（1941年）には府社に昇格しましたが、現在も神社本庁には加盟せず、独自の歴史と伝統を保っています。

貴重な文化財

原田神社は、数多くの文化財を有しています。

重要文化財（国指定）：原田神社本殿: 慶安5年（1652年）の建立と判明している本殿は、全国的にも珍しい五間社流造の形式で、正面には千鳥破風と軒唐破風、桧皮葺の屋根が特徴です。細部の意匠にも優れた技巧が施され、江戸時代前期の建築技術の高さを示す貴重な遺構です。
有形文化財（府指定）：原田神社の流水文銅鐸: 天明元年（1781年）に社地の山林から発掘された弥生時代中期の銅鐸です。東奈良遺跡出土の鋳型から鋳造されたことが判明しており、銅鐸の生産地と消費地を繋ぐ唯一の例として学術的にも貴重な資料です。
有形文化財（市指定）：摂社十二神社本殿: 三間社流造の形式で、桧皮葺の屋根を持つ社殿です。建立年代は不明ですが、少なくとも17世紀初頭、あるいは桃山時代まで遡る可能性もあると推定されています。
市指定有形文化財：水田西吟撰原田神社奉納俳諧額: 明治24年（1891年）に奉納された俳諧額で、算額としても知られています。
原田神社石鳥居: 能勢街道に面した石鳥居は、明神鳥居の形式で、貞享5年（1687年）に建立されたことが銘文から判明しています。建立過程を示す記録類も残っており、当時の鳥居建立の様子を知る上で貴重な資料となっています。

重要な祭礼

原田神社では、年間を通して様々な祭りが行われています。

春祭（稚児祭）: 3月18日
水無月大祓: 6月30日
秋祭（獅子神事祭）: 10月1日～10日。豊中市の無形民俗文化財に指定されている獅子神事祭は、天武12年（684年）から続く伝統行事です。氏子地区を巡行する神輿や、境内での獅子舞などが行われ、地域住民の信仰と一体となった賑やかな祭です。
* 大祓: 12月31日

境内社と周辺

境内には、十二社殿、神明社、小宮、稲荷社など複数の境内社が祀られています。神社の宮寺である瑞輪寺には、俳人・水田西吟の墓などがあります。

その他

NHKの連続テレビ小説『てっぱん』のロケ地としても使用されました。

原田神社は、歴史と文化、そして地域住民の信仰が深く結びついた、豊中市を代表する神社です。多くの文化財や伝統行事を通して、その歴史と文化に触れることができます。

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