友成用三

友成用三

友成用三（ともなり ようぞう、1893年2月10日 - 没年不明）は、日本の映画監督、脚本家、美術監督、録音技師として、映画の黎明期に多岐にわたる才能を発揮した人物です。特に、衣笠貞之助監督の代表作『十字路』で美術を手がけた際には、平凡二（たいら ぼんじ）という名義を用いていました。

生涯と足跡

1893年（明治26年）2月10日、東京府東京市京橋区数寄屋橋（現在の東京都中央区銀座）の銀座教会で生を受けました。弟には、同じく映画界で撮影技師として活躍した友成達雄がいます。

1921年（大正10年）、友成は森岩雄とともに、高松豊次郎が主宰する活動写真資料研究会に参加し、助監督としてキャリアをスタートさせます。翌1922年（大正11年）には、森とともに銀座に中央映画社を設立。この会社は、山本嘉次郎、近藤伊与吉、横田豊秋、大辻司郎、友成達雄らが設立した無名映画協会が製作した作品を配給しましたが、1923年（大正12年）9月1日の関東大震災により、製作機能は停止を余儀なくされました。

1925年（大正14年）、高松豊次郎がタカマツプロダクションを設立すると、友成もこれに参加。1926年（大正15年）には、林正夫主演の『国境の血涙』で映画監督としてデビューを果たします。この作品には、伊沢蘭奢、三島洋子、山本嘉次郎も出演していました。1927年（昭和2年）までタカマツプロダクションで監督を務めた後、1928年（昭和3年）には、衣笠貞之助が主宰する衣笠映画聯盟に「平凡二」の名で美術スタッフとして参加します。同年、衣笠がヨーロッパへ渡航したため、衣笠映画聯盟は解散。友成は、製作提携をしていた松竹下加茂撮影所に残り、監督業に復帰しました。

1930年（昭和5年）には、帝国キネマ演芸がイーストフォン方式を採用したトーキー作品、鈴木重吉監督、関屋敏子主演の『子守歌』を製作する際に録音技師として参加し、「音響」としてクレジットされました。

また、服部栄養専門学校の服部幸應は、友成の孫（娘の子）にあたります。

フィルモグラフィ

• - 『国境の血涙』 : タカマツプロダクション、1926年 - 監督・原作
• - 『燃ゆる情魂 前篇』 : タカマツプロダクション吾嬬撮影所、1926年 - 監督・脚本
• - 『燃ゆる情魂 後篇』 : タカマツプロダクション吾嬬撮影所、1926年 - 監督・脚本
• - 『紅扇』 : タカマツプロダクション吾嬬撮影所、1926年 - 監督・原作
• - 『マツダ映画小品集 「空」』 : タカマツプロダクション吾嬬撮影所、1926年 - 監督・脚本・出演（牧場の天作役）
• - 『涙の黎明』 : タカマツ・アズマプロダクション、1926年 - 監督
• - 『二人の女性』 : タカマツ・アズマプロダクション、1927年 - 監督・原作
• - 『陽炎の舞』 : タカマツ・アズマプロダクション、1927年 - 監督・原作
• - 『十字路』 : 監督衣笠貞之助、衣笠映画聯盟・松竹京都撮影所、1928年 - 美術
• - 『人非人』 : 松竹下加茂撮影所、1928年 - 監督
• - 『江戸育ち』 : 松竹下加茂撮影所、1928年 - 監督
• - 『とかげ』 : 松竹下加茂撮影所、1928年 - 監督
• - 『塙保己一』 : 児童芸術映画協会、1928年 - 監督
• - 『曲る刃』 : 監督石山稔、松竹下加茂撮影所、1929年 - 原作・脚本
• - 『子守歌』 : 監督鈴木重吉、帝国キネマ演芸、1930年 - 音響

ビブリオグラフィ

• - 『活動写真大鑑』、共著森岩雄、1976年 - 1977年復刻

外部リンク

• - Yôzô Tomonari - IMDb（英語）
• - 友成用三 - 日本映画データベース
• - 友成用三 - KINENOTE
• - 友成用三 - allcinema

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