双葉駅

双葉駅

福島県双葉郡双葉町の北西部に位置する双葉駅は、東日本旅客鉄道（JR東日本）の常磐線が乗り入れる駅です。特急「ひたち」も停車し、地域の重要な交通拠点となっています。

歴史的変遷

双葉駅は、1898年8月23日に日本鉄道磐城線の駅として開業しました。当初は「長塚駅（ながつかえき）」と称され、当時の双葉郡長塚村に所在していました。

開業後の路線網の変遷を経て、1909年10月12日には現在の常磐線の一部となります。1906年11月1日には日本鉄道の国有化により官設鉄道の所属となり、1949年6月1日には日本国有鉄道（国鉄）が発足し、その一員となりました。

駅名が「双葉駅」に改称されたのは、1959年10月1日です。これは、長塚村が周辺自治体との合併を経て1956年に双葉町となったことに合わせたものです。双葉町という名称は、双葉郡がかつて標葉郡と楢葉郡が統合されて誕生したことに由来します。

その後、貨物営業は1962年3月1日に、荷物取扱いは1984年2月1日にそれぞれ廃止されました。路線の近代化も進み、1967年8月20日には草野駅から岩沼駅までの区間が交流電化されています。また、1970年3月25日には蒸気機関車が姿を消し、常磐線のこの区間はディーゼル化されました。

1968年10月のダイヤ改正では、急行列車の一部が停車するようになり、特に朝の上野行き急行を利用すれば、日帰りでの東京出張も可能なダイヤが実現しました。これは、福島第一原子力発電所の建設が進む中で、当時の町長が熱心に陳情を続けた成果とされています。

1980年4月1日には駅員の配置が見直され、出札業務や荷物取扱いは外部委託化されました。そして、1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、東日本旅客鉄道（JR東日本）の駅となりました。

1998年10月には、町のコミュニティ施設である「ステーションプラザふたば」との合築となる駅舎が竣工しました。

東日本大震災からの復旧と再開

2011年3月11日に発生した東日本大震災およびそれに伴う福島第一原子力発電所事故の影響により、双葉駅を含む常磐線の一部区間は甚大な被害を受け、営業を休止せざるを得なくなりました。

長期にわたる不通期間を経て、常磐線全線運転再開に向けた復旧工事が進められました。双葉駅でも駅施設の改修が行われ、2018年8月6日には橋上駅舎化と自由通路の新設工事が開始されました。2019年12月18日からは、富岡駅と浪江駅間の運転再開に向けた試運転が始まりました。

駅周辺は福島第一原子力発電所事故に伴う帰還困難区域内に含まれていましたが、特定復興再生拠点区域として先行的な復旧が進められました。2020年3月4日には、駅周辺部の一部で避難指示が解除され、同年3月14日には富岡駅から浪江駅間の運転が再開され、双葉駅も営業を再開しました。この再開と同時に、当駅は東京近郊区間に編入され、ICカード「Suica」の利用が可能となりました。

営業再開に合わせて、新たな橋上駅舎と東西を結ぶ自由通路が供用開始されました。駅の運営方式も変更され、「Smart Station for EXPRESS」の導入により無人駅となりました。

駅構造

現在の双葉駅は、地上に単式ホーム1面1線を持つ構造となっています。これは東日本大震災後の復旧工事において、震災前の相対式2面2線から改修されたものです。かつては当駅と大野駅の間は複線区間でしたが、震災後の復旧では上り線の敷地を非常時の避難道路としても活用するため、単線での復旧となりました。これに伴い、ホームも西側の1面1線のみに集約されました。これらの改修にかかった総工費は約18億4000万円とされています。なお、1998年に竣工した旧駅舎は、復旧後の新駅舎完成に伴い双葉町に無償で譲渡されました。

駅施設としては、無人駅であるため「Smart Station for EXPRESS」が導入されており、利用者は話せる指定席券売機や簡易Suica改札機を利用します。また、駅の東西を結ぶ自由通路に接続する形で橋上駅舎が整備されており、エレベーターも設置されています。東口のエレベーターはホーム階への連絡も兼ねており、東口と改札階、改札内とホーム階をそれぞれ結んでいます。

自動改札付近の壁には、放射線量を表示するディスプレイが設置されており、駅周辺の環境情報を提供しています。

利用状況

双葉駅は、2011年3月11日から2020年3月13日まで営業を休止していました。それ以前の利用状況については、JR東日本により2000年度から2010年度にかけての1日平均乗車人員が公表されていましたが、具体的な数値はここでは示されていません。2020年3月14日の営業再開以降は無人駅となったため、それ以降の利用状況に関する統計データは公表されていません。

駅周辺

双葉駅は双葉町の中心部の北西端に位置しています。町役場や主な医療機関などの中心的な施設は、駅から南東方向に1キロメートルほど離れた場所に集まっています。

駅周辺地域は、福島第一原子力発電所事故による帰還困難区域の一部でしたが、特定復興再生拠点区域に指定され、避難指示解除に向けた取り組みが進められました。2020年3月4日には駅周辺の一部区域で先行的に避難指示が解除され、2022年8月30日には特定復興再生拠点区域全体の避難指示が解除されています。営業再開当初の2020年3月14日時点では、駅・駅前・町コミュニティセンターの範囲にのみ立ち入りが可能で、避難指示が解除されていた町東側へと繋がる道路のみ通行できる状況でした。

バス路線

駅前の「双葉駅前」停留所からは、複数の路線バスが運行されています。

新常磐交通：富岡駅方面、大野駅・浪江駅・福島水素エネルギー研究フィールド（FH2R）方面
東北アクセス：双葉町シャトルバス（伝承館・産業交流センター方面）

隣の駅

JR東日本 常磐線における双葉駅の隣駅は以下の通りです。

* 大野駅 - 双葉駅 - 浪江駅

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