古今亭志ん生 (4代目)

四代目古今亭志ん生（1877年4月4日 - 1926年1月29日）は、明治・大正期に活躍した東京の落語家です。本名は鶴本勝太郎で、通称「鶴本の志ん生」として知られていました。

来歴

落語家としてのスタートは、二代目古今亭今輔の門下で、1890年頃には昔家今の助（今之助）を名乗っていたとされています。1896年5月には二代目むかし家今松と改名し、師匠や先輩から薫陶を受け、音曲、特に富本節で高い評価を得ていました。

師匠の死後、兄弟子の五代目雷門助六門に移り、雷門小助六と名乗ります。しかし、生来のぞろっぺいな性格や酒癖が災いし、不遇な時期を過ごし、地方の寄席を転々とすることになります。それでも、小助六時代に参加した落語研究会でその才能が認められるようになります。この頃、後に一時代を築く初代柳家小せんや三代目蝶花楼馬楽と知り合い、共に切磋琢磨しました。

1910年11月、三代目（初代）古今亭志ん馬として真打に昇進。1912年12月には、六代目金原亭馬生を襲名しました。この時、既に大阪に五代目馬生がいたため、名古屋以西では馬生を名乗らないという条件付きでした。そのため、鶴本の馬生を六代目として数えています。

順風満帆に見えた馬生時代でしたが、1919年頃、大阪の五代目馬生が東京に進出することになり、二人の「馬生」が存在するという事態が発生します。混乱を避けるため、ビラの字の色で区別することになり、東京の馬生は「黒馬生」と呼ばれるようになりました。

1924年10月、四代目古今亭志ん生を襲名しましたが、そのわずか1年後に癌で亡くなります。手術の麻酔で意識を失う際、「ずっこけ」を演じながら息を引き取るという、芸人らしい最期でした。墓所は墨田区回向院にあります。

亡くなる直前には「どうも志ん生っていう高座名は短命でいけねぇ…だからこの名前は俺で最後にしてくれぇ…。」とつぶやいていたそうです。この名前は歴代の襲名者が早世していることから、五代目志ん生が襲名する際にも「やめとけ」という声が上がりました。しかし、五代目は「何いってやがんでぇ、どうせ死ぬんだから名のらねぇわけにいくけぇ。」と拒絶し、その後の活躍で志ん生の名を大いに高めました。

芸風

粋で、唄い調子のいかにも江戸前の芸風が特徴でした。

得意ネタ

「うどん屋」
「転宅」
「三軒長屋」
「妾馬」など

弟子

初代古今亭志ん上
古今亭馬生 - 初代柳家三語楼門下に移籍
四代目金原亭馬好 - 八代目入船亭扇橋門下に移籍
四代目古今亭志ん馬 - 八代目桂文楽門下に移籍
全亭武生 - 四代目柳家小さん門下に移籍
四代目古今亭志ん橋

書籍

吉井勇の「俳諧亭句楽の死」「狂芸人」「無頼漢」「小しんと焉馬」などに「焉馬」として登場
久保田万太郎の「末枯」に「三橘」の名で登場
正岡容の「寄席」に主人公として描かれる

関連作品

テレビドラマ：NHK大河ドラマ『いだてん ～東京オリムピック噺～』（演：古今亭菊之丞） - 「六代目 金原亭馬生」として登場

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