古宮城

古宮城（ふるみやじょう）

古宮城は、愛知県新城市作手清岳に位置する戦国時代の平山城です。この城は、戦国時代に武田氏によって築かれたと考えられており、現在も武田氏の高度な築城技術をうかがい知れる遺構が数多く残っています。その歴史的価値が認められ、新城市指定史跡となっています。また、2017年には続日本100名城にも選定されました。

概要

立地

古宮城は、三河国北東部の山間地、作手盆地の中心部に位置しています。作手盆地を南北に走る作手街道が城のすぐ西を通り、南側からは伊那街道へと繋がる街道が分岐するなど、交通の要衝でした。周囲からの比高約30メートルの小高い丘に築かれており、盆地内でも標高が低い湿地帯に囲まれています。作手街道を挟んだ西側には本城山が迫り、同時期に塞ノ神城が築かれたと考えられています。

歴史

古宮城は同時代の史料には登場しないため、築城から廃城までの経緯は不明な点が多いです。『三河国二葉松』によれば、元亀2年（1571年）に武田信玄が馬場信春に命じて築城させたといわれています。街道の要衝という立地から、武田氏が徳川家康を攻略するための拠点として築かれたと考えられます。

『二葉松』には、小幡又兵衛、甘利左右衛門、大熊備前守らが在城したと記されています。廃城時期も定かではありませんが、天正3年（1575年）の長篠の戦いで武田氏の勢力が衰退した頃と推測されています。

『中津藩史』によると、当時作手を領有していた奥平氏が武田氏から離反し、徳川家康に再び属したとされています。天正元年（1573年）には、亀山城を放棄した奥平貞能とその一族を、古宮城の武田軍が追撃しました。しかし、奥平軍の別働隊が手薄になった古宮城を襲撃すると見せかけた陽動作戦を展開し、古宮城を守る武田軍は追撃を断念したと伝えられています。

遺構

現在、城跡の南側には白鳥神社が建立されていますが、その他の区域は山林となっており、遺構の破壊は比較的少ないです。そのため、戦国時代の築城技術を知る上で貴重な存在となっています。城の規模は250メートル×200メートルほどで、比高30メートルの丘に位置し、周囲は湿地帯となっています。

城郭は大きな堀によって東側と西側に区画されています。外部からの入口は作手街道に面した西側にあります。侵入者に対しては、幾重にも張り巡らされた土塁や堀底を移動させることで、常に高所からの攻撃にさらす構造となっています。西側の曲輪から東側の曲輪へは、一箇所だけ細い道が通じています。東側の曲輪の虎口は桝形構造になっており、そこを抜けると50メートル四方の主郭部に入ります。主郭部の東側は段々状の削平面となっており、武家屋敷があったと考えられています。また、城内には多数の竪堀が設けられています。

これらの遺構から、古宮城は武田氏の築城技術が活かされた城郭であることがわかります。『日本城郭大系』では、「遠江諏訪原城を小型化した縄張りで、中世から近世に移る過程の城郭の見本」と評されています。ただし、本格的な発掘調査は実施されておらず、構造や内部空間については今後の調査が待たれます。

ギャラリー

[写真: 古宮城跡の様子]

脚注

参考書籍

平井聖ほか編『日本城郭大系第9巻　静岡・愛知・岐阜』（1979年、新人物往来社）
愛知県教育委員会編『愛知県中世城館跡調査報告3　東三河』（1997年、愛知県教育委員会）

関連項目

* 日本の城一覧

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