古田徳昌

古田徳昌：通産官僚からマツダ社長、そしてJリーグへ

古田徳昌（ふるた のりまさ）は、1928年3月27日に生まれ、2019年9月9日に91歳で生涯を閉じた日本の人物です。彼のキャリアは、通商産業省の官僚として始まり、その後、マツダの社長、そしてJリーグのサンフレッチェ広島の初代球団社長へと、多岐にわたりました。

生い立ちと官僚としてのキャリア

大分県宇佐市出身の古田は、中津商業学校、大分経済専門学校を経て、東京大学経済学部を卒業しました。1952年に通商産業省に入省し、同期には後に事務次官となる杉山和男らがいました。椎名悦三郎通産大臣の秘書官を務め、薫陶を受けました。1969年から1973年まで在フランス日本大使館参事官として赴任し、帰国後は航空機課長、自動車部長、資源エネルギー庁石油部長などを歴任。1981年に通商産業省貿易局長を最後に退官し、電源開発理事に就任しました。

マツダ社長としての挑戦

1985年、古田はマツダに入社し、専務を経て1987年12月に社長に就任しました。これは、マツダにとって初の会社外部出身の社長の誕生でした。当時のマツダは、プラザ合意後の円高不況により経営が悪化しており、古田は経営再建の重責を担うことになりました。彼は、社風改革や国内シェア10%を目標に、大胆かつ柔軟な経営戦略を推進しました。

貿易自由化が進む中、古田はマツダの生き残りをかけ、上位3社を目指して販売5チャンネル化を推進しました。しかし、この方針は後に過剰投資と批判されることにもなりました。往年の軽自動車・キャロルをオートザムブランドで発売、高級セダン・センティア、カペラセダンの後継車・クロノス、ロードスター発売など、様々な車種の展開を行いました。

また、古田はマツダのスポーツ活動にも力を入れました。特に、ル・マン24時間レースへのロータリーエンジン搭載車での参戦を決断し、1991年には日本勢として初優勝を飾るという快挙を成し遂げました。これは、ロータリーエンジンによる参加が認められた最後の年での優勝であり、大きな意義を持つものでした。

サンフレッチェ広島の初代球団社長として

日本のサッカーリーグのプロ化が計画される中、マツダサッカークラブもプロリーグ参加を打診されていました。しかし、マツダ本体は当初、経営的な問題から参加に消極的でした。古田は、県サッカー協会をはじめとする多くの関係者からの嘆願を受け、広島県知事との会談を経て、県の援助を取り付け、リーグ加入を正式表明しました。そして、マツダサッカークラブを母体とするサンフレッチェ広島が誕生し、古田は1992年4月に初代球団社長に就任しました。任期中にはJリーグステージ優勝も経験しました。

その後

マツダ社長退任後は、日本サイクリング協会会長などを歴任しました。彼の多岐にわたる活動は、日本の経済、自動車産業、そしてスポーツ界に大きな影響を与えました。

古田徳昌は、その卓越したリーダーシップと決断力で、多くの困難を乗り越え、マツダ、そして日本のスポーツ界に多大な貢献をした人物として、記憶されることでしょう。

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