杉山和男

杉山和男：通商産業を支えた官僚の生涯

杉山和男（すぎやま かずお）は、1927年4月30日に東京市で生まれ、2018年11月3日に91歳で生涯を閉じました。彼は日本の官僚として、特に通商産業省（現・経済産業省）で重要な役割を果たし、最終的には通商産業事務次官という要職に就きました。

略歴

杉山は赤坂区氷川小学校（現・港区立赤坂小学校）から東京府立一中へ進学。その後、海軍経理学校を経て第一高等学校、東京大学法学部を卒業しました。1952年に通商産業省に入省し、同期にはマツダ社長となる古田徳昌、評論家の並木信義、通産審議官の小松国男らがいました。

1974年に機械情報産業局総務課長に就任してからは、次官レースに加わり、官房秘書課長、通商政策局経済協力部長、機械情報局次長、官房長、産業政策局長といった要職を歴任し、1982年に通産事務次官に就任しました。

次官在任中には、GATT憲章に照らした非関税障壁に対する貿易摩擦、いわゆるジャパンバッシングが激化。杉山は小松国男通産審議官らと共に、対米交渉の矢面に立ちました。

退官後は、興銀顧問、通産省顧問、新日鉄副社長、電源開発社長、日本コンベンションセンター社長などを歴任。2003年からは、国際貿易投資研究所理事長に就任し、国際貿易と投資に関する研究を推進しました。

2001年には、長年の功績が認められ、勲一等瑞宝章を受章しています。

その他の活動と太平洋戦争への考察

東京都立一中では、大蔵事務次官の山口光秀、検事総長の筧栄一、駐伊大使の手島冷志らと同期でした。また、国際貿易投資研究所で発行された「季刊 国際貿易と投資」に掲載された随想「歴史と教訓 -太平洋戦争についての一考察-」は、小冊子としてもまとめられました。この中で杉山は、自らの体験に基づき、太平洋戦争について独自の考察と意見を展開しています。

杉山和男は、激動の時代における日本の通商産業を支え、国際社会との関係構築に尽力した人物として、その功績は記憶されるべきでしょう。彼の経験と知識は、現代の国際貿易と投資を考える上でも貴重な示唆を与えてくれます。

2018年11月3日、肺炎のため逝去。正四位が贈られました。

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