古箏

古箏（こそう）について

古箏（グーチェン）は、中国の古代から続く伝統的な弦楽器で、発音は「こそう」とも呼ばれます。この楽器は、ツィターの一種であり、主に21本の弦から構成されているのが特徴です。ただし、地域によって弦の本数は異なることがあります。材料には金属弦や絹糸、さらには金属芯のナイロン弦などが使用され、演奏は右手に装着した義爪で弦を弾くことで行われます。

構造と演奏方法

古箏の構造は、各弦の下に雁柱（琴柱）が配置されており、これを調整することで音の高さを変えることができます。演奏者から遠い弦ほど音が低くなり、通常は五音音階に調弦されています。現代には21弦の箏が一般的で、ニ長調の場合、下からD、E、F♯、A、B、d、e、f♯、a、b、d1、e1、f♯1、a1、b1、d2、e2、f♯2、a2、b2、d3という4オクターブの音を出すことができます。特定の音を出すためには、左手で雁柱の左側を押さえることで音高を一時的に変更することができます。

演奏の際は、通常、右手の親指・人差し指・中指に義甲をはめて弾くことが一般的ですが、柔らかい音を出すために義甲を使わない薬指や左手の指も使用されます。左手の技術には、弦を押さえて音を高くする「按」、ビブラートをかける「顫」、音を滑らせて変化させる「推」などがあります。

古箏の起源

古箏の起源は、春秋戦国時代の秦に遡ります。一説には、秦の将軍であった蒙恬が作ったという伝説もあり、古箏はその際に「秦箏」とも呼ばれるようになりました。さらに、漢の李斯による紀元前237年の文献には、秦の音楽に関する記述があり、その中で「弾箏」という表現が見られます。

ところが「箏」という名称は、楽器を鳴らした時の音「箏箏」に由来しているとされています。また、唐代の伝説では、25弦の瑟を兄弟が争い、分け合った結果箏が生まれたとも言われていますが、この説は後の解釈によるものと思われます。

伝播と地域独自の楽器

古箏は中国国内で広く流布しており、河南省、山東省、浙江省、広東省や内モンゴルなどそれぞれの地域に独自の古箏が存在しています。また、古箏は他の文化圏にも影響を与え、日本の箏やモンゴルのヤトガ、ベトナムのダン・チャイン、朝鮮の伽耶琴などの祖型にもなっています。特に、日本には8世紀に雅楽とともに伝わったとされています。

楽器の改変ば

古箏は時代とともに姿を変え続けてきました。漢・晋時代には12弦が主流でしたが、唐・宋時代には13弦が普及し、明・清時代には15弦、さらには16弦の楽器も登場しました。近年では18弦、21弦、さらには25弦の楽器も演奏されています。弦の数が多いものも作られたことがありました。

古箏は移調が難しい楽器であるため、その弱点を克服するために、上海音楽学院の何宝泉によって蝶式箏が開発されました。この楽器は左右対称に49弦を持ち、4オクターブの全ての半音を出すことが可能です。左側は従来の21弦の古箏とほぼ同じ形式を保ちながら、音楽的な幅を広げています。

また、弦の材質も進化しており、元々絹の弦が主流でしたが次第に金属弦が使用されるようになり、楽器の形状も運搬の利便性を考慮に入れて小型化が進められています。このように、中国の古箏は長い歴史の中で様々な改変を経てきたため、古い時代に周辺国に伝わった楽器の中には、依然として古い形を保持しているものも少なくありません。

代表的な演奏家

最後に、現代の古箏奏者として注目される演奏家には、毛丫（マオヤ）、伍芳（ウーファン）、沈莉卓（シェンリジュ）、謝雪梅（シェイクー）、戴茜（ダイシー）、姜小青（ジャンシャオチン）、鶯と燕、劉芳（リュウファン）などがいます。彼らの演奏は、古箏の魅力を多くの人々に伝え、音楽の世界を広げる役割を果たしています。

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