古谷恵菜

古谷 恵菜（ふるや めぐな）

日本の女子野球選手として、長きにわたりマウンドに立ち続けた古谷恵菜は、1996年5月13日に埼玉県朝霞市で生を受けた。177cmという恵まれた身長を活かした、角度のあるストレートを最大の武器とする本格派投手として知られる。

野球との出会いとアマチュア時代

幼少期、古谷が野球と出会ったのは、兄がプレーしていたことによる影響が大きかった。地元の朝霞市立朝霞第七小学校で軟式野球を始めたが、小学3年生になると硬式野球へと転向。この頃からその長身は際立っており、野球以外の競技、特にバレーボールからも誘いを受けるほどだったという。朝霞市立朝霞第二中学校時代には、男子選手に混じり富士見リトルシニアでプレーし、硬式野球における基礎と実力を積み重ねた。中学卒業後、彼女は野球に専念できる環境を求め、地元埼玉を離れて京都府にある女子硬式野球部強豪校、福知山成美高等学校へと進学。高校野球での経験は、その後の彼女のキャリアを形成する上で重要な礎となった。

プロフェッショナルとして

高校卒業を控えた2014年7月、古谷は日本女子プロ野球機構（JWBL）の関西地区入団テストに見事合格。プロ選手としての道を歩み始める。2015年、彼女は東北レイアの一員としてプロのユニフォームに袖を通した。ルーキーイヤーながら、チームのエースとしてマウンドを託され、その期待に応える活躍を見せた。ピッチングだけでなく、打撃でも非凡な才能を発揮し、投打「二刀流」の活躍から、かねてより憧れの存在として名前を挙げていた北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手になぞらえ、「女大谷」というニックネームで呼ばれることもあった。

プロ入り後、古谷はチームを移籍しながらキャリアを重ねる。2017年には兵庫ディオーネを経て、同年7月には京都フローラへ移籍。京都でのプレー期間中の2018年10月には、スポーツフィールドpresents月間MVPの9月度投手部門を自身初受賞するなど、リーグを代表する投手としての地位を確立した。2019年には埼玉アストライアに移籍。地元埼玉のチームでプレーする機会を得た。この埼玉アストライア所属時の2019年6月21日に行われた愛知ディオーネ戦では、プロ通算100奪三振という節目となる記録を達成している。女子プロ野球機構がその歴史に幕を閉じる直前の2020年シーズン終了をもって、古谷はJWBLを退団した。

プロ退団後のキャリアと引退

JWBL退団後も、古谷は女子野球選手としての活動を続けた。2021年には、関西女子硬式野球リーグであるラッキーリーグに所属する淡路BRAVEOCEANSに入団。新たな環境で再びマウンドに上がった。その後、2023年には関東女子硬式野球リーグのヴィーナスリーグに加盟するエイジェック女子硬式野球部へ移籍。レベルの高いリーグでプレーを続けた。しかし、2024年12月20日、所属するエイジェック女子硬式野球部から、同シーズン限りでの退部が発表された。そして、同年12月31日をもって、古谷恵菜は約20年に及ぶ現役生活にピリオドを打ち、グラウンドを去った。

記録

古谷恵菜の主なプロフェッショナルキャリアにおける記録は以下の通り。

初登板: 2015年5月23日（対埼玉アストライア戦、6回2/3 3失点で敗戦投手）
初勝利: 2015年6月13日（対京都フローラ戦、7回2失点・完投）
初奪三振: 2015年6月29日（対兵庫ディオーネ戦、1回表に厚ヶ瀬美姫から見逃し三振）
初安打: 2016年6月18日（対京都フローラ戦、7回裏に矢野みなみから左前安打）

背番号の変遷

古谷がプロおよびプロ退団後に着用した背番号は以下の通り。

JWBL時代: 31 (2015年 - 2016年)、19 (2017年 - 同年7月、2019年)、11 (2017年7月 - 2018年、2020年)
プロ退団後: 41 (2021年 - 2022年)、18 (2023年 - 2024年)

JWBLでのエースとしての活躍、プロ退団後のチームへの貢献を経て、古谷恵菜は女子野球の歴史にその名を刻んだ。彼女の長身から繰り出される角度のあるピッチングは、多くのファンを魅了し続けた。

もう一度検索