台中市役所

台中市役所

台中市役所は、台湾台中市西区に位置する、辰野金吾様式のバロック建築です。1911年に、台中地区初の鉄筋コンクリート建築として「台中庁公共埤圳聯合会事務所」として建設されました。1920年の行政区画変更に伴い、台中市役所となり、翌年には増築工事も行われました。現在見られる建物は、この増築後の姿を受け継いでいます。初代台中市長に相当する金子恵教の執務室としても使用されました。

1945年の台湾光復後、市役所機能は旧台中州庁舎に移転し、旧市役所は様々な用途に使用されました。その後、文化財として登録され、修復作業を経て現在に至ります。文化資産としての名称は、日本統治時代の「市役所」のままとなっています。

市役所の裏には、同じく辰野式の二階建ての建物が3棟あります。これらは公設質舗倉庫（公益質屋）として建設されたもので、総督府鉄道部台北鉄道工務課の技師であった中村與松がデザインした、当時の台中市の市章が装飾されています。戦後は、台中市選挙委員会や環境保護局などが使用していました。

現在、これらの建物は修復され、2016年からは両建物の間にガラス張りのエントランスが設けられました。古典玫瑰園（ローズハウス）が運営するカフェ「CAFE1911」とアートスペースとして、また、公設質舗も「昭和沙龍（昭和サロン）」という飲食店として再利用されています。

沿革

1910年（明治43年）：着工。
1911年（明治44年）：現在地に竣工。「台中庁公共埤圳聯合会事務所」として利用開始。周辺には台中州庁や台中女中など多くの公共施設が集まっていた。
1920年（大正9年）：台中市役所として使用されるようになり、翌年まで増築工事が行われる。
1945年：日本の敗戦により、中華民国政府が接収。市役所組織は台中州庁に移転。その後、「台湾省政府日産処理委員会台中弁事処」や「陸軍第54軍司令部」などが使用。
1972年：「中国国民党台中市党支部」となる。
1986年：党支部が移転し、台中市政府に権利が戻る。「台中市政資料館」や「台中市政府新聞室」などとして利用される。
1999年9月21日：921地震により建物が損壊。
2000年：「台中市政府交通旅遊局」が入居。
2002年7月1日：台中市政府文化局により市定歴史建築に登録。
2003年11月20日：第1期修復事業着手。
2004年11月：修復事業竣工。
2005年：「台中故事館」として、市民の歴史や文化を紹介する展示スペースとなる。
2012年1月：台中市政府文化局により第2期修復事業着手。
2013年7月：第2期修復事業着工。
2014年5月：民間運営者の公募。
2014年9月：第2期修復事業竣工。
2016年2月27日：公設質舗倉庫と共にリノベーションされ、「台中市役所文創園区」として再オープン。1階がカフェと飲食店、2階以上がアートスペース、後方の倉庫はレストランや売店として利用。
2017年2月23日：公設質舗倉庫も市定歴史建築として登録。

建築の特徴

台中市役所は、日本統治時代に建設された大型官公署建築の代表例です。竣工当初は、「回」の字型の地上2階建てでしたが、増築により「L」字型となりました。建材にはレンガ、木材、鉄材、鉄筋コンクリートが用いられています。角の部分は2層吹き抜けのプロスタイル形式で、2本の柱がギリシャ建築のプロナオス様式を形成しています。

妻屋根にはカルトゥーシュ（装飾額）が施され、屋根は窓付きの小部屋がある古典的なドーム型になっています。ファサード外観は石膏に赤レンガを積み重ねたイオニア式が採用されています。

交通

台中州庁#交通を参照

参考文献

《歷史建築簡介 台中市役所》，台中市文化局
歷史建築臺中市役所OT委外可行性評估（摘要版） 2014年1月,台中市政府

出典

関連項目

日本統治時代の台湾
台中庁
台中州
辰野金吾
ローズハウス
宮原眼科

外部リンク

臺中市役所 台中市文化資産処
公設質舖倉庫 台中市文化資産処
台中市役所 文化部文化資産局国家文化資産網
古典玫瑰園・台中市役所文創園區
台中市役所 Taichung Shiyakusho (taichungshiyakusho) - Facebook
台中市役所台中観光旅遊網

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