台北市市区公車

台北市市区公車

台北市市区公車は、台北市聯営公車管理中心によって路線番号が管理され、台北市と新北市にまたがって運行されるバス路線網です。台北市政府公共運輸処が主に管轄する聯営路線バスと、新北市政府交通局が管理する新北市区公車のバス路線が含まれています。

概要

聯営バスは、15社のバス会社によって構成されています。各路線は基本的に単一の会社によって運営されますが、複数の会社による共同運行路線も存在します。現在の主な参画業者は以下の通りです。

大都会客運
欣欣客運
大有巴士
大南汽車
光華巴士
中興巴士
指南客運
台北客運
三重客運
首都客運
新店客運
新北客運
淡水客運
東南客運
基隆客運

過去には福和客運も参画していましたが、現在は脱退しています。

各バス会社は契約方式で聯営バスに参画し、「台北市聯営バス管理委員会」（聯管会）を共同で組織し、運営方針を決定します。管理委員会の下には、「台北市聯営バス管理センター」（聯管センター）が業務執行機関として設置されています。運営上、バス停や待合室は統一され、各社で共有されています。チケットや運賃収受方式も共通化されていますが、各社の組織、資産、法的権利義務関係は独立しています。営業収入は統合・分配後、各社がそれぞれ必要に応じて支出する方式がとられています。

台北市交通局は、年に2回、バス会社のサービス品質評価を実施し、その結果を補助金の交付や新規路線申請の参考としています。新北市交通局も同様に、県轄市区バス業者に対し年1回の評価を実施しています。

歴史

1976年以前、台北市のバス事業は、公営の台北市交通局と4社の民営バス会社によって運営されていました。各社は独自の乗車券を発行し、相互利用ができないなど、不便な状況でした。また、路線計画も不十分で、路線の重複や不足が発生していました。

聯営体系の形成

運営効率を高めるため、1976年に「台北市公民営バス聯営準備委員会」が設立され、バス路線や乗車券、運賃の統一に向けた作業が進められました。1977年4月30日に第一段階の聯営バス路線が運行を開始し、その後段階的に路線が追加されました。当時、運営に参加していたのは、台北市交通局と、既存の4社の民営バス会社に加え、新たに5社の民営バス会社でした。

19[[80年代]]後期から1990年代にかけて、台湾省公路局が管轄していた地方路線バスも、聯営バスと同様の運賃制度に変更され、聯営体系に組み込まれるようになりました。これにより、聯営バスの運行範囲は台北県内にも拡大していきました。しかし、当時は台北市交通局が全てを管轄していたため、台北県内の交通需要や運行経路の調査に支障がありました。そのため、台北県交通局の成立後、県内における長距離路線は「新北市轄市区バス」として管轄されるようになりました。

停留所標識

停留所標識には、手書きタイプと印刷済みシールタイプがあります。

手書きタイプ

初期の形状は円形または角形でしたが、聯営後に円形に統一され、背景色は桃色になりました。上から、路線番号、停留所名、経由停留所名、始発・終バス時刻、発車間隔などが記述されています。

印刷済みシールタイプ

停留所名を透明または不透明のシールに印刷し、アクリル板やプラスチック板に貼り付けたものです。時期によっていくつかのタイプがあります。

第一期: アクリル製の茶色の長方形の台座に、白色文字で停留所名が貼り付けられています。長方形のアクリル板が4枚取り付けられ、そのうち3枚に路線情報が貼られ、残り1枚に広告が設置されていました。
第二期:
第三期:

乗車券の変遷

聯営制度以前は、各社が異なる乗車券を発行しており、自社路線のみ使用可能でした。聯営制度導入後、「一票通用」（一枚の切符でどこでも利用可能）のため、聯営管理センターから統一された紙製乗車券が発行されました。種類は、普通乗車券、優待乗車券、学生乗車券に分かれていました。冷房車が導入されると、専用の料金券も発行されました。かつては車掌が改札を行っていましたが、合理化のために廃止され、運転手が改札も兼務するようになりました。しかし、運営効率が低下したため、199[[4年]]初めに改札制度は廃止され、乗車時に現金を投入する方式が採用されました。

その後、磁気式プリペイドカードが導入され、1996年9月1日には、バスプリペイドカードが正式に採用されました。しかし、磁気式カードの処理効率が低かったため、RFID技術を用いたICスマートカード「悠遊カード」が2002年に登場し、バスプリペイドカードは徐々に置き換えられ、2003年10月[[8日]]に全面使用停止となりました。

2013年からは一卡通(iPASS)、2016年12月には有銭卡(HappyCash 2.0)、2017年には愛金卡(icash 2.0)でも利用可能になりました。

現行運賃制度

収受方式

現在の運賃収受方式は、ICカード払いと現金払いが併用されています。現金払いの場合はお釣りが出ないため、事前に小銭を用意しておく必要があります。運賃は区間制で、路線は一段票（1区間）、両段票（2区間）、三段票（3区間）のいずれかに分類されます。現金は乗車時または下車時に支払い（出入口に表示あり）、ICカードは乗車時と降車時に2度タッチします。

分段收費

一段票路線: どの停留所から乗降しても運賃は1区間分です。
両段票、三段票路線: 路線上に運賃境界となる分段点や、分段緩衝区（バッファゾーン）が設定されています。例えば、A-B-C-D-Eという路線でCが分段点の場合、AからBまたはCまで乗車した場合は1区間運賃、AからDまたはEまで乗車した場合は2区間運賃となります。C以降は、どの停留所まで乗車しても1区間運賃です。分段緩衝区がある場合は、その区間内では1区間運賃、区間外は2区間運賃となります。

分段点・緩衝区

バス路線の範囲が郊外へと拡大していくにつれて、分段点のある路線が増えました。分段点は、士林、松山、公館、永和、万華、三重、台北新北市境界の淡水河、新店渓橋梁付近などに多く見られます。分段点を通過せずに長距離乗車しても1区間料金で済む一方、分段点の近くから乗車して少しの距離で2区間料金になる場合もあり、運賃が乗車距離に比例しない問題がありました。そこで、緩衝区の考え方が生まれました。緩衝区は橋梁やトンネルの前後の停留所に設定され、乗り換えの利便性を高めています。また、捷運が開通してからは、捷運駅を緩衝区の起点とする路線も増えました。

運賃

1区間あたりの運賃は台北市交通局が計算・調整し、市議会の同意を得て決定されます。表面上は均一運賃ですが、実際には格差のある運賃規定が適用されています。現行の運賃は、普通運賃15元、学生運賃12元（学生悠遊カード利用時のみ）、老人、身体障害者、児童優待運賃8元です。

乗継割引

ICカードを利用した場合、バスと捷運を1時間以内に乗り継ぐと乗継割引が適用されます。割引後の運賃は、普通運賃8元、学生運賃6元、老人、身体障害者、児童優待運賃4元です。ただし、乗り継ぎ先のバスが2区間運賃または3区間運賃の場合は、1区間のみ割引運賃となります。2020年2月以降、乗降車時に正しくタッチしていない場合は乗継割引が適用されなくなりました。

路線

路線番号規則

1桁または2桁の路線: 初期に1区間運賃だった路線が中心です。一部は聯営制度以前から使用されています。
0番台: 過去に台北駅を経由して循環していた路線です。現在は0東と0南のみが残っています。
100番台: レジャーバス路線（主に土休日のみ運行）。
200番台: 初期に2区間運賃を実施した路線。
300番台: 初期に3区間運賃を実施した路線。現在、304系統を除いては2区間運賃に変更されています。
500番台: 当初から冷房車で運行されていた1区間運賃路線。
600番台: 当初から冷房車で運行されていた2区間運賃路線。
700番台: 元々地方路線バスで、聯営体系に組み込まれた3区間運賃路線。一部は2区間運賃に変更。
800番台: 新北市交通局管轄の「新北市轄バス」路線。
900番台: 快速バス（多くは高速道路やバイパス道路を経由）。
色始まり: 捷運連絡バス
道路名始まり: 幹線バス、新幹線バス。
「小」始まり: 山岳小型バス路線。
市民小巴始まり: 市民小型バス路線

幹線バス路線

台北市の主要幹線道路を直行する路線で、「○○幹線」と命名されます。例として、信義幹線、敦化幹線などがあります。これらの路線は、運輸政策により路線名が変更されることがあります。2017年7月5日には、幹線バス路線の全面刷新が行われました。

レジャーバス路線

週休2日制の実施に伴い、市民のレジャースポットへのアクセスを向上させるため運行が開始されました。現在は、土休日に固定運行される路線と、特定の祭日に運行される路線があります。系統番号は緑地に白字で表示され、一般路線とは異なります。

小型バス路線

近郊山岳地域の住民の利便性向上のため、1979年より山岳小型バスの運行が開始されました。路線の多くは山道や狭路区間を運行し、フリーストップ制が採用されています。系統番号は「小」（英語表記は「S」）で始まります。

バリアフリー路線

博愛バス

車椅子利用の障害者向けに、リフト付きの「博愛バス」が運行されています。現在は2台のみで、277系統と同じルートを運行しています。

ノンステップバス導入

2001年、台北市交通局はノンステップバスを導入し、病院を経由する路線に投入しました。ノンステップバスが配置されている路線は固定時刻のみ運行されているため、利用する場合は事前の問い合わせが必要です。

新幹線路線

200[[8年]]より、台北市交通局はノンステップバス使用の新路線設定を補助し、各社がノンステップバスの導入を開始しました。

市民ミニバス路線

2007年より、地域と捷運駅間の「ラスト1マイル」の輸送サービスとして、市民ミニバスが計画されました。系統番号は「市民小巴」（英語表記は「M」）で始まります。

特定テーマ路線

観光利用を目的とした路線で、市民ミニバスとレジャーバスの中間に位置づけられます。主に万華区や大同区などの歴史ある地区で運行されています。

捷運連絡バス路線

1999年より運行が開始された、捷運駅と捷運が運行されていない地域を結ぶバス路線です。路線番号の前に捷運路線の中文と英文の色名が冠されています。大部分は1区間運賃ですが、一部には2区間運賃を徴収する路線もあります。

科技園区通勤バス路線

内湖科技園区や南港軟体園区への通勤をサポートするため、2006年に設定された通勤時間帯限定のバス路線です。これらの路線は、バイパス道路やバス専用道を経由し、目的地に直接到達します。

特殊な路線型態区分

聯営バス路線には、同一路線番号でも運行区間が異なる路線が多数存在します。通常、1路線を正線とし、その他は区間車、副線、直達車、左線・右線、快速バス、夜間バスなどに区分されます。路線番号の色や表示方法も異なっています。

区間車: 正線の一部区間のみを運行し、緑色で表示されることが多い。
副線: 正線とある程度の差異があり、緑色または青色で表示されることが多い。
直達車: 正線に比べて短時間で目的地に到達できる路線。
左線・右線: 運行方向や道路が異なる路線。現在残っているのは緑2と猫空遊園バスのみ。
快速バス: バイパス道路や高速道路を走行する路線。
夜間バス: 通常運行終了後に発車時刻を定めて運行するバス。

その他

過去には、「文化公車」や「中型冷房バス」といった特殊な路線も存在しました。

歴史的に、「4」や「13」という数字は避けられてきたため、路線番号として使用されていません。また、「8」という数字も政治的な理由から単独では使われていませんでしたが、現在は新北市管轄バスの運営開始に伴い使用されています。

外部リンク

聯営バス業者
大都会客運、首都客運、三重客運、中興巴士、光華巴士、指南客運、欣和客運、淡水客運、台北客運、欣欣客運、大南汽車、大有巴士、東南客運、福和客運、新店客運
新北市各市町村無料コミュニティバス
淡水町、三芝村、石門村、金山村、万里村、汐止、石碇村、烏來村
中和市捷運連絡バス、永和市民無料連絡バス、五股村連絡バス、蘆洲市コミュニティバス、林口村無料コミュニティバス、八里村無料コミュニティバス
その他
台北市大衆運輸及バス路線査詢系統
乗車情報サービスシステム（新北市政府）
台北市リアルタイム交通情報網
悠遊カード株式会社
悠遊網-基隆、台北バス情報
暢行台北-バス情報ステーション
台北バス動態情報E-BUS
我愛巴士5284
台湾公車通アプリ
台北市市区公車 - Google Play
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