台湾における携帯電話

台湾における携帯電話の歴史は、通信事業が長らく国営であった時代から始まります。国家による独占が続いていましたが、1980年代末から1990年代にかけて徐々に自由化が進められました。2000年代に入ると、一部企業に外資規制が残るものの、台湾の通信事業はほぼ完全に自由化されました。

2010年12月時点での携帯電話契約回線数は、2Gが818万回線、3Gが1873万回線、合計で2692万回線に達しました。これは、当時の台湾の人口2316万人に対して116％の普及率であり、一人で複数の回線を持つユーザーも多かったことがうかがえます。

技術の進化に伴い、台湾の携帯電話サービスは大きな転換期を迎えました。国家通訊伝播委員会（NCC）の決定により、2017年6月をもって2Gサービスが終了しました。続いて、3Gサービスも2018年12月31日に終了しました。ただし、4Gの音声通話技術であるVoLTE（Voice over LTE）対応端末の完全普及を考慮し、3G波の送出自体は一時的に継続されました。しかし、2024年6月30日をもって、大手3キャリアは3G波を完全に停波し、以降はVoLTE対応端末と4G以上のSIMカードが必須となっています。

現在、台湾で携帯電話サービスを提供している主な事業者とその特徴は以下の通りです。

中華電信（Chunghwa Telecom）：台湾最大の通信サービス企業であり、第2世代（GSM）、第3世代（W-CDMA）、第3.9世代（LTE）の携帯電話サービスを提供していました。現在では、4Gと5Gに注力しています。
台湾大哥大（Taiwan Mobile）：台湾第二の通信サービス企業であり、同様に第2世代（GSM）、第3世代（W-CDMA）、第3.9世代（LTE）のサービスを提供していました。2023年12月1日には、台湾之星を吸収合併しました。
遠伝電信（Far EasTone）：かつてNTTドコモが出資していたことで知られています。第2世代（GSM）、第3世代（W-CDMA）、第3.9世代（LTE）のサービスを提供していましたが、2023年12月15日には、亜太電信を吸収合併しました。
亜太電信（Asia Pacific Telecom）：第3世代（CDMA2000）と第3.9世代（LTE）のサービスを提供していましたが、2023年12月15日に遠伝電信に吸収合併されました。
* 台湾之星（Taiwan Star Telecom、旧・威寶電信）：第3世代（W-CDMA）と第3.9世代（LTE）のサービスを提供していましたが、2023年12月1日に台湾大哥大に吸収合併されました。

これらの事業者は、技術革新とともにサービスの拡充を図り、台湾の携帯電話市場を牽引してきました。特に、2024年の3G停波は、台湾の通信業界における大きな節目であり、ユーザーはより高速で安定した4Gや5Gサービスへの移行が求められることとなりました。

また、台湾の通信行政を管轄する行政院国家通訊伝播委員会（NCC）は、通信事業の発展を監督する重要な役割を担っています。NCCのウェブサイトでは、最新の通信政策や事業者情報が公開されており、台湾の通信業界を理解する上で貴重な情報源となります。

台湾の携帯電話市場は、自由化と技術革新によって大きく変化してきました。現在では、高速データ通信が可能な4G、5Gサービスが主流となり、通信事業者は新たなサービスや技術の開発に注力しています。この変化は、台湾の社会や経済にも大きな影響を与えており、今後の動向も注目されます。

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