台湾鉄路管理局DR2500型気動車

台湾鉄路管理局DR2500型気動車：台湾の都市間輸送を革新した名車

台湾鉄路管理局（台鉄）でかつて運用されていたDR2500型気動車は、1950年代の台湾において、都市間輸送の高速化に大きく貢献した車両です。本稿では、DR2500型に加え、その準同型であるDR2600型、DR2650型についても詳しく解説します。

導入の背景

1950年代の台湾では、日本統治時代から引き継がれた蒸気機関車牽引の列車が主流で、都市間の移動には長い時間を要していました。この状況を打開するため、台鉄はまず1954年にDR2300・2400型ディーゼルカーによる快速列車「柴油飛快車」を台北・彰化間で運行開始しました。これが好評を博したため、専用車両として新たに投入されたのがDR2500型気動車でした。

DR2500型の特徴

DR2500型は、1955年から1956年にかけて東急車輛製造で8両が製造されました。そのうち1両は完成車として、残りの7両は部品が提供され、現地でノックダウン生産されました。車体は、当時の国鉄キハ10系気動車をベースとしており、特徴的なバス窓を備えていました。運転台は片運転台方式で、2両以上での連結運転が基本でした。車内には固定式クロスシートが配置され、定員は72名でした。

エンジンには、カミンズ製のNHRBS-600型が採用されました。これはアメリカのトラックにも使用されていた6気筒エンジンで、12.2リットルの排気量とスーパーチャージャーにより、2100回転時に300馬力を発生させることができました。トランスミッションはアメリカンダブルディスク社製のDFF-10034、台車は東急製のTS-304が採用され、最高速度105km/hでの走行が可能でした。

「飛快車」としての活躍

1956年2月1日より、DR2500型は台北・台中間を2時間25分、高雄までを5時間4分で結ぶ「飛快車」として運行を開始しました。これにより、所要時間が大幅に短縮されたため、多くの人々から支持を集めました。この好評を受け、1957年には増備車として、東急車輛製造製のDR2600型とDR2650型が登場しました。

DR2600型とDR2650型

DR2600型は、DR2500型と基本設計を共有しながらも、両運転台方式を採用し、転換クロスシートを備えていました。10両が製造されました。

DR2650型は、エンジンを持たない付随車として4両が製造されました。これにより、DR2500型グループは合計22両となり、引き続き「飛快車」として活躍しました。

その後の経緯

1965年頃には、車内設備を中心に更新改造が行われました。座席は転換クロスシートに交換され、シートピッチが拡大され、それに伴い窓配置も変更されました。しかし、1961年から運行を開始した観光号や、1966年から運行を開始した光華号と比較すると、車内設備や最高速度が見劣りするようになりました。そのため、DR2500型グループは次第に西部幹線や北廻線の区間列車用へと転用され、1983年から1985年にかけて大半の車両が廃車となりました。最後まで残った車両も1989年には全車廃車となり、その役目を終えました。

現存車両

DR2652は、かつて彰化市内で飲食店の施設として利用されていましたが、2012年に保存のため台北機廠に移送され、復元工事が行われています。しかし、DR2652を除くすべての車両は解体されており、現存する動力車は存在しません。


DR2500型気動車グループは、その後の台湾の鉄道輸送に大きな影響を与え、台湾の鉄道史を語る上で欠かせない存在です。

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