北廻線

台湾鉄路管理局 北廻線

北廻線は、台湾北東部、宜蘭県の蘇澳新駅から花蓮県の花蓮駅を結ぶ台湾鉄路管理局の鉄道路線です。台湾を一周する環状鉄道の一部を担い、山間部を走るため、91ヶ所の橋梁と16ヶ所のトンネルが存在します。特に新観音トンネルは全長10,307mと台湾最長の鉄道トンネルとして知られています。

概要

北廻線は、台湾の環状鉄道構想において重要な役割を果たしています。その建設は、険しい山岳地帯を克服する必要があり、多くの橋梁とトンネルが建設されました。新観音トンネルはその象徴であり、台湾の鉄道技術の高さを物語っています。

歴史

北廻線の歴史は、日本統治時代に花蓮駅と宜蘭付近から建設が開始されました。しかし、約30kmを残して未完成のまま終戦を迎えます。その後、台湾の十大建設の一つとして再始動しました。建設以前は、台湾東部の花蓮駅 - 台東駅間は独立した台東線が運行しており、西部幹線との鉄道による連絡がありませんでした。このため、東西間の交通は蘇花公路と中部横貫公路に依存しており、増大する交通需要に対応できなくなっていました。

1973年、台湾東部を大型台風が襲い、東部交通網は深刻な被害を受けました。東西交通問題の解決策として、蘇花公路の拡幅、新規道路の建設、そして鉄道建設の3案が検討されました。その結果、最も効果的であると判断された鉄道建設が決定しました。蔣経国総統の賛同を得て、1973年12月25日に着工。日本統治時代に築かれた部分を活用し、1975年9月26日に新城以南が花蓮臨港線とともに貨物営業を開始しました。その後、1979年2月8日に和平駅まで延伸、和平以南で旅客営業を開始。1980年2月1日に開業式典を行い、翌2月2日に全線が開通しました。

全線開通により、台北と花蓮間の所要時間は劇的に短縮され、1982年の台東線改軌完成後には、台北-台東間の直通列車が運行を開始。乗客数は飛躍的に増加しました。特に自強号などの優等列車は慢性的な混雑を示すようになったため、1992年からは全線の複線化事業が開始され、新観音トンネルを除き2000年に完成しました。電化工事も同時に行われ、新線の建設とトンネル、橋梁を活用した直線的な線区として生まれ変わりました。改良工事は2003年6月末に大部分が完了し、7月4日には電化を祝う式典が花蓮駅で陳水扁総統の出席のもと執り行われました。その後もトンネル区間の複線化工事は進められ、2005年1月に完成しました。これらの改良工事により、列車の高速化と所要時間の短縮化が実現し、台湾東西を連絡する主要な交通手段として利用されています。

高速化のため、車体傾斜式車両も導入され、TEMU1000型を用いた太魯閣号が2007年から、TEMU2000型を用いた普悠瑪号が2013年から投入され、東部幹線全体の所要時間短縮に大きく貢献しています。貨物輸送の需要も高く、複線化後も鈍足の貨物列車と高速の旅客列車が頻繁に運行されており、線路容量の拡大が課題となっています。東部幹線全体で見ると、短編成で全席指定の太魯閣号と普悠瑪号が主力列車となったことで、座席供給量の増加は限定的となっています。2019年からは、これらの列車でも立席乗車券が販売されるようになりました。

2021年4月2日には、和仁駅と崇徳駅間で太魯閣号が工事現場のクレーントラックと衝突、脱線する事故が発生し、多数の死傷者が出ました（詳細は北廻線太魯閣号脱線事故を参照）。

運行形態

北廻線では、区間車と東部幹線を走る特急列車が運行されています。

区間車

蘇澳鎮、南澳郷、秀林郷、新城郷、花蓮市を中心に運行されています。

東部幹線対号列車

東部幹線上り列車は、台東、花蓮を始発とし、多くが樹林駅まで運行しています。一部列車は樹林駅より先の西部幹線へ直通します。下り列車は樹林駅を始発とし、花蓮、台東まで運行。一部列車は樹林駅より先の西部幹線から直通します。

使用車両

対号列車

自強号
E1000型プッシュ・プル式電車
振子式TEMU1000型電車（太魯閣号）
振子式TEMU2000型電車（普悠瑪号）
EMU3000型（2021年より）
DR2900型
DR3000型
DR2800型
莒光号/復興号
頭等客車/二等客車（平快を除く）

非対号列車

区間車/区間快車
EMU500
EMU800（多客期に運行される区間快車に使用）
EMU900（多客期に運行される区間快車に使用）

駅一覧

※の駅は廃止された駅です。背景色が■の駅は現在施設が供用されていない、または完成していないことを示します。

(駅一覧は省略。必要であれば別途生成します。)

脚注

注釈

(注釈があれば記載します)

出典

(出典があれば記載します)

関連項目

* 新永春トンネル

もう一度検索