史念祖

史念祖（し ねんそ、Shi Nianzu、生年不詳 - 1910年）は、清朝末期の官僚であり、字（あざな）は縄之（じょうし）と称しました。江蘇省江都の出身で、刑部尚書を務めた史致儼（し ちげん）の孫にあたります。幼い頃から兵法を好んでおり、捻軍（ねんぐん）の蜂起が起こると、官位の一つである通判（つうはん）の地位を買い求めました。

史念祖は、喬松年（きょう しょうねん）に従い、蒙城（もうじょう）の包囲を解くことに貢献し、その功績を認められました。1865年、捻軍の拠点であった雉河集（ちかしゅう）には、安徽布政使（あんき ほせいし）の英翰（えいかん）が駐屯していましたが、捻軍に包囲されていました。史念祖は、この防衛戦で重要な役割を果たし、その結果、道員（どういん）という官職に昇進しました。

1867年には、鳳陽（ほうよう）に移り、捻軍の李允謀（り いんぼう）を破るという戦功を立て、バトゥルの称号を授与されました。1869年には、山西按察使（さんせい あつさし）に任命されましたが、当時30歳に達していなかったため、規定により解任されるという経験もしました。

1871年、史念祖は甘粛安粛道（かんしゅく あんしゅくどう）として、回民蜂起（かいみんほうき）の鎮圧にあたっていた左宗棠（さ そうとう）軍の補給を担当し、左宗棠から高く評価されました。1878年には、甘粛按察使となりましたが、降伏した回民を殺害した者の裁判において、左宗棠の意に逆らったため解任されました。これは、史念祖が自身の正義を貫いた結果とも言えるでしょう。

1884年、雲南按察使（うんなん あつさし）となり、さらに雲南布政使（うんなん ほせいし）に昇進しました。1895年には、広西巡撫（こうせい じゅんぶ）に任命され、匪賊討伐で成果をあげましたが、部下の汚職に連座して罷免されるという不運に見舞われました。

1905年には、副都統待遇で盛京将軍（せいきょうしょうぐん）の趙爾巽（ちょう じそん）に随行し、東三省（とうさんしょう）の塩務・財政局を担当しました。行財政改革に成果をあげましたが、趙爾巽が四川総督（しせんそうとく）に異動し、徐世昌（じょ せいしょう）に代わると、弾劾されて職を辞することとなりました。しかし、死後、趙爾巽が生前の功績を上奏したことにより、巡撫の地位が追贈され、その功績が再び認められることとなりました。

史念祖は、捻軍の鎮圧から回民蜂起、そして東三省の財政改革まで、清朝末期の動乱期において、多岐にわたる分野で活躍しました。その生涯は、清朝末期の官僚として、その実直さと不運な一面を象徴していると言えるでしょう。

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