司馬文思

司馬文思（しば ぶんし、生没年不詳）は、東晋の皇族であり、河内郡温県を本貫とします。父は司馬休之で、共に北魏へ亡命しました。

経歴

司馬文思は、伯父である譙王司馬尚之の後を継ぎ、東晋の譙王に封じられました。しかし、その性格は凶暴で、罪のない民衆を多く殺害したと伝えられています。狩猟を好み、墳墓を焼くなどの行為を繰り返したため、しばしば役人に訴えられました。

劉裕を排除しようと企てたことが発覚し、劉裕によって捕らえられ、父である司馬休之のもとに送り返されました。司馬休之は息子の譙王の位を剥奪し、劉裕に謝罪しました。

義熙11年（415年）、劉裕は司馬休之の子である司馬文宝と、兄の子である司馬文祖を捕らえて殺害し、軍を率いて司馬休之を討伐しました。司馬休之は司馬文思らと共に後秦へ亡命しました。義熙13年（417年）に後秦が劉裕によって滅ぼされると、北魏の庇護を求めました。

北魏では、司馬文思は淮南公司馬国璠や司馬道賜を内心では嫌っていましたが、表面的には親しく接していました。ある時、彼らを招いて酒宴を開いた際、司馬国璠が酒に酔って温楷、王珍、曹栗らとの反乱計画を漏らしました。司馬文思がこの事を密告したため、彼らは皆処刑されました。この功績により、司馬文思は廷尉卿に任じられ、鬱林公の爵位を授けられました。

南朝宋が将軍の裴方明を派遣して仇池の楊難当を攻撃すると、太武帝は司馬文思を仮節・征南大将軍に任じ、爵位を譙王に進め、洛豫の諸軍を率いて襄陽へ向かわせ、裴方明の帰路を迎え撃たせました。その後、平城に帰還し、懐朔鎮将となりました。

興安初年に死去しました。子の司馬弥陀が爵位を継承しましたが、その妻の父である毗陵公竇瑾と共に呪詛を行った罪に連座し、処刑されました。

伝記資料

『晋書』巻37 列伝第7
『魏書』巻37 列伝第25
* 『北史』巻29 列伝第17

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